変化 ページ33
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「さっき緑谷ちゃんとお話ししてたのって、Aちゃんが告白をするとかしないとかそういうお話よね?」
『梅雨ちゃん!?』
先生に追い出される前になんとか課題を終わらせて寮に戻ると、すぐご飯にするよと言われた。
今日も今日とてみんな練習をしていたようで、ご飯の前にみんなでお風呂に入ったらしい。
おかげでわたしと梅雨ちゃんは夕飯後にふたりでゆっくり入浴中だ。
ツヤツヤの髪と肌が目に飛び込んでくる。
誰かとお風呂に入るのっていつになっても少し緊張しちゃう。
いくらコスチュームで肌の露出をしていようと、それとは違う恥ずかしさがあるのだ。
「私もお話ししたかったけど、誰かが聞いてたら困るかと思って我慢したのよ」
長い髪を器用に上に纏めてお湯に浸かる梅雨ちゃんに見つめられ、情けない声が漏れる。
マナー的に良くないことは分かっているけれど、口までお湯に沈んだ。
もごとごと呟いた言葉は全部泡に変わる。割れた泡が弾いた水が目に入った。
『みんなに乗せられるとつい先を考えちゃうんだ』
何度か瞬きをして涙と一緒に目に入った水を出す。
結構痛かったからもうやらない。たぶん。
『でも、このままがいちばん良いような気もするの』
関係が崩れるくらいなら進まない方がいい。
誰かに迷惑をかけてまで、自分の幸せは探さない方がいい気がする。
『告白したら、どうしたってわたしと轟くんの関係は変わるでしょ?でもそれだけじゃなくて、A組のみんなとの関係も変わっちゃう』
「私は必要な変化だと思うわ」
梅雨ちゃんがケロ、と笑う。
「インターンに行っていた1ヶ月で、Aちゃんと轟ちゃんの雰囲気がとっても変わったって思ったの。きっと意識しないうちに轟ちゃんへの接し方を変えていたのよ」
そんな気持ちは一切なかったけど、梅雨ちゃんが言うならそうなのかもしれない。
わたしは思っていたよりも分かりやすかったみたいだし。
「それに、私たちに気を遣う必要なんてまったくないわ。Aちゃんが変わりたくないと思うのなら止める気はないけれど、変わりたい気持ちを押さえつけたらダメよ」
『……うん』
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有紀(プロフ) - 瑞穂さん» こちらこそ読んでくださってありがとうございます!気長にお待ちくだされば幸いです◎ (2020年4月29日 22時) (レス) id: a38a24a1c3 (このIDを非表示/違反報告)
瑞穂(プロフ) - 続編ありがとうございます!続き楽しみにしてます!! (2020年4月26日 13時) (レス) id: e180184c40 (このIDを非表示/違反報告)
有紀(プロフ) - かぼさん» コメントありがとうございます!続編でもよろしくお願いします◎ (2020年4月20日 22時) (レス) id: a38a24a1c3 (このIDを非表示/違反報告)
かぼ(プロフ) - 続編嬉しいです!!これからも楽しみにしてます(*´∇`*) (2020年4月19日 23時) (レス) id: 5ac4123fb5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:有紀 | 作成日時:2020年4月17日 0時