・ ページ34
.
やっぱり梅雨ちゃんはすごい。迷っていた気持ちがすっきり晴れたような気がする。
『わたし、轟くんに好きって言いたい』
出来ることなら轟くんにも好きになって貰いたい。
わがままを言っていいのなら、いちばん望む幸せがほしい。
それが無理だったとしても、“轟くんのことが好き”って気持ちは、勝手に失くして良い想いじゃないはずだ。
「Aちゃんには、“轟ちゃんは自分を好きに決まってる”くらいの強気の方が似合うわよ？」
『なにそれめっちゃ性格悪そう』
「ケロケロ」
『否定してよ！？』
いつものようにニコニコと笑う梅雨ちゃん。
わたしのことを想って、わたしの意志を再確認してくれる気配り上手な彼女にまた助けられちゃった。
「でも、恋愛って本当に人を変えるのね」
まあ告白の方法は追って考えよう。
とりあえず問題を先送りにするのは良くないと分かっているけど、焦って変なことになっても困るし。
うんうんとひとりで頷いていたわたしの耳に梅雨ちゃんが納得したような声が届く。
え？と力のない声がこぼれた。
「Aちゃんが悩んでたり困ってる様子を見せるのって珍しいなって思ったの。どちらかと言うと、遠くから全体を捉える方が得意でしょ？
指揮をとる人が弱いところを見せることってあまり無いと思うし、実際Aちゃんはあんまりそういう態度を見せないわ」
百ちゃんみたいな感じね、と梅雨ちゃんは続けた。
確かにA組の頭脳・八百万さんが慌てふためく姿はあまり見ない。
まあ彼女に関しては良い家庭で過ごしすぎてわたしのような庶民との差に戸惑っているのは良く見るけれど、少なくとも勉強や訓練においては常に冷静でいる印象だ。
『うーん、八百万さんとは似ても似つかないけどなぁ……』
「比較したいわけじゃなかったのだけど、かえって分かりにくかったかしら」
『でも、遠くから見てたい派なのは合ってる』
というか、教室の雑音に紛れていたいし目立ちたくも無いし。
言われればそうかも？と思える節もたくさんあって否定しきれない。
『最近はのめり込んじゃってる？』
「とっても主体的よ」
『えー、無意識。恋愛って怖いねぇ』
恥ずかしいなぁ、と呟いて両手を頬に当てると思ったよりも熱くなっていた。のぼせちゃったかも、と笑う。
梅雨ちゃんは変わらずニコニコと笑っていた。
.
ついったーはこちら
ひとりごとを色々呟いてます◎
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 861人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
有紀(プロフ) - 瑞穂さん» こちらこそ読んでくださってありがとうございます！気長にお待ちくだされば幸いです◎ (2020年4月29日 22時) (
レス) id: a38a24a1c3 (このIDを非表示/違反報告)
瑞穂(プロフ) - 続編ありがとうございます!続き楽しみにしてます!! (2020年4月26日 13時) (レス) id: e180184c40 (このIDを非表示/違反報告)
有紀(プロフ) - かぼさん» コメントありがとうございます！続編でもよろしくお願いします◎ (2020年4月20日 22時) (レス) id: a38a24a1c3 (このIDを非表示/違反報告)
かぼ(プロフ) - 続編嬉しいです！！これからも楽しみにしてます(*´∇｀*) (2020年4月19日 23時) (レス) id: 5ac4123fb5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：有紀 | 作成日時：2020年4月17日 0時
