三十二話【JM】 ページ32
「A…さん。」
『ん?』
「これ、傷薬なんだけど…。よかったら使って?」
『え!いいの?こーゆー薬って、高価なものなんでしょ?』
「いいよ。僕もよく転ぶから、いつも持ち歩いてるんだ。」
『ふーん。
ねえ、これ、どうやって使うの?』
「え!?」
そんなこともわからないの?と驚いた俺に、恥ずかしそうに、申し訳なさそうに、「わかんないんだー。」と笑った彼女の顔を、何故だか今でもはっきり覚えている。
「よし、これでいいよ。乾くまでなるべく触らないようにしてね?」
『わかった!ありがとう、ジミン!よし、それじゃ、私のお部屋行こう!』
YG「行きません。」
『ユンギ!?』
「ユンギ様!?」
その頃、ユンギさんはまだソクジン様の側近ではなく、その妹であるA様の面倒をよく見ていた。
YG「パク家のとこのガキか。悪かったな。振り回されただろ?」
「あ…はい。」
『なによー!
はぁ、ジミンごめんね。鬼に見つかったから今日はもう遊べないみたい。またお城に遊びにきてね!待ってるから!』
YG「はい、いいから行きますよ。」
『ユンギは私のこと見つけるのうまいよねー。』
嵐のように去っていった2人を、ただ見送ることしかできなかった俺は、まだ彼女の正体に全く気付いていなかった。
よく考えれば、貴族の中でも3本指に入るほどの名家のミン家の子息が、敬語を使うほどの女の子だ。ただの少女ではないことくらい、すぐにわかりそうなものなのに。
数日後、第一皇子に呼び出された俺は、腰を抜かすことになる。
「な、私の息子をですか…!?」
SJ「そう。A姫の付き人になってくれたら嬉しいんだけど。ほら、2人年も近いみたいだし。」
一緒に呼ばれた父上は、あまりの出来事に終始声が裏返りっぱなしだった。
そりゃそうだろう。
落ちこぼれだと思っていた息子が、いきなり皇女の側仕えに大抜擢されるなんて。夢にも思わなかったはずだ。
だけど、嬉々とした表情の父上とは反対に、不機嫌さを隠そうともしない姫様の様子が、気になって仕方がなかった。
彼女が実は皇女だったとか、そんなことよりも。
SJ「A。何がそんなに不服なの?お前だって友達ができたって喜んでただろ。」
『そう、お友達ね。誰も仕えて欲しいなんて言ってないわ。』
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ミロ(プロフ) - TENNさん» TENN様 実は…暁のヨナ大好きです(^^)おそらくめちゃくちゃ影響受けてるし参考にしてます!( ; ; )ヨナみたいなファンタジー要素がないのでこの先違ってきちゃうのですが…、楽しんでいただけると嬉しいです(^人^)わー、テンションあがっちゃいました(笑) (2019年10月30日 8時) (レス) id: 5bc7eaedbd (このIDを非表示/違反報告)
TENN - もしかして暁のヨナ読まれてますか?読んでいて通ずる所があったのでもしかして、と思ったんですが(´-`).。oO私も宮廷物?の話が好きなのですごく面白く読ませて貰ってます(*^^*) (2019年10月30日 2時) (レス) id: 8a45b3191e (このIDを非表示/違反報告)
ミロ(プロフ) - Agust dさん» わ!投票ありがとうございます!(´;ω;`)この主人公はいい子にしよういい子にしようと気をつけたので、そう言っていただけて嬉しいです(o^^o)ユンギペンなのですね!素敵なお名前だと思っておりました!ちょこちょこ登場ですが、このお話のユンちゃん気に入ってます笑 (2019年10月21日 21時) (レス) id: 5bc7eaedbd (このIDを非表示/違反報告)
Agust d(プロフ) - ちょうど300票目を入れさせていただきました。 姫のような純粋無垢の女性は素敵で憧れます! 誰とくっつくのかが楽しみです♪ ユンギペンなのでユンギとの絡みも楽しみに読んでいこうと思います! (2019年10月21日 13時) (レス) id: fea73733b9 (このIDを非表示/違反報告)
ミロ(プロフ) - ムンバイさん» ムンバイ様 えーー!?!?嬉しすぎます…!!震えながら更新してるので、本当に励まされます…!!ありがとうございます!( ; ; ) (2019年2月23日 21時) (レス) id: e396746b53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミロ | 作成日時:2019年2月14日 23時