ブラザーズ・コンプレックス【完】

大好きな時間 ページ1

・



　




朝7時30分。


　


とっくに冴え切った目を無理やり閉じて、布団にもぐって外から聞こえて来る足音に耳を澄ませる。


　






にやにやにやにや。



　

今から訪れる至福の時間に胸が踊って仕方ない。



　
　









コンコンコン



　








来た…！




　









「A？」

『…』

「おーい。

もー、入るよ？」



　



ガチャっと扉が開く音がして、私はすやすやとわざとらしい寝息をたてる。




　





「そろそろ起きないと遅刻だぞー。」

『…。』

「A？」



　


名前を呼んでくれるこの甘い声が聴きたくて、私はいつまででも寝たふりをしてしまう。


　

だけど。



　






　






バサッ！！！



　

『ひゃ！！』







　









「おはよう、A。」

『お、おはよう。ホソク君。』



　






この幸せな時間は、いつも早々にして打ち切られてしまう。

　
にっこり優しい笑顔の後ろに何か黒いものを携えた、私の兄・ホソク君の手によって。








　









　






　



HS「朝ごはん作ってあるから。

顔洗っておいで。」

『はぁい。』

　


ふわふわと私の頭を撫でて部屋を出て行った、スーツ姿のホソク君の後ろ姿をぽーっと見つめる。



　
ホソク君は、かっこいい。

世界で一番素敵な、私のお兄ちゃん。






　
　
　









『うう、寒い。』



　


2月の韓国はとにかく寒い。

部屋から出て、冷たい廊下を恐る恐る歩く。




　








「おはよー、」

『わ！！オッパ！？』


　



突然部屋から出てきたオッパが、全体重をかけて私に乗っかってきた。



　

『んも、

重い！！って！
ちゃんと自分の足で歩いて！


グクオッパ！！』

JK「冷たいなー。

俺まだ眠いんだもん。」

『なら、まだ寝てればいいじゃん！』

JK「そしたらお前、1人で学校行くことになるけど？」

『いいよ別に。オッパと学校行くと目立つからやなんだもん。』

JK「まぁ、1人でなんて絶対に行かせないけどね。」

『シスコン。』

JK「なんとでもどうぞ。」



　


A、あったかい。なんてぎゅーっと抱きついて来るグクオッパ。

オッパなのに、弟みたい。
ホソク君とは大違いだなぁ。


　
　








『わー！いい匂い！！』

HS「早く食べちゃいな。

ジョングク、おはよう。」

JK「おはよー、ホソギヒョン。」

チョンさん家の3人兄妹→

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す