ダリside、のようなもの ページ8
ダリside
Aちゃんはもう僕に隠す必要が無くなったのか、遠慮無く煙草を吸い始めた。
煙草を吸う横顔は何処か大人びていて、とても綺麗だ。
真っ黒で綺麗なショートカットの髪、
前髪は少し目にかかっていて、少し長めの横髪も綺麗に整えられている。
顔は化粧っ気は無く、健康的な色白な肌が少し見える程度。
そして何よりこの顔。
(美人さんだなぁ〜)
僕は、ふと悪戯心が芽生える。
『ね〜、Aちゃん？』
Aは煙草の煙を吐き出した後、僕の方を向いた。
「何ですか」
『一本ちょーだい♡』
瞬間__煙草を吸う彼女の手がピクッっ揺れたのが分かった。
そんな姿も愛おしくて僕は思わず笑ってしまった。
「え〜？どうしようっかな〜」
Aちゃんはまた煙草を吸い始める。
「まあ、一本くらいならいいですよ」
Aちゃんの声が少し弾んでいる気がする。
『わ〜い！ありがとね〜』
そして、僕は煙草を一本貰い口に咥える。
ポケットからライターを出そうと思って、ポケットの中を探る。
すると、肩を叩かれ、ネクタイを引っ張られた。
「火ぃつけてあげますよ」
Aちゃんはそう言うと口に煙草を咥えたまま顔を近付けて来る。
『え』
Aちゃんは僕の咥えている煙草の先端に自分の咥えていた煙草をくっ付けた。
その瞬間__ボっ！っと互いの火が燃え移る音が聞こえて来たかと思えば直ぐ様に顔が離される。
『っ……！』
「どしたんですか」
『いや、これは不可抗力でしょ！』
Aちゃんはさっきより少し離れて座り直し煙草を吸う。
Aちゃんの顔が近くに来ただけで顔が熱くなるなんて僕らしくない。
そんな自分の変化に驚きながらも平静を装って話す。
「そういえば君って煙草いつから吸ってるの？」
彼女は吸い殻を地面に落とし、スリッパで踏み付けながら応える。
「……覚えてないですね」
『へ〜』
Aちゃんの口調は、初めて会った時よりも大分砕けている、今は大分警戒も解けたんだろう。
「何か……止められなくて。」
Aちゃんはそう言って自嘲気味に笑う。
『そっか〜……』
Aちゃんの顔を見れば、酷く怯えている様に見えて__。
『もう辞めちゃえば？煙草なんて』
僕がそう言えば、Aちゃんは少し驚いた様な顔で僕を見た。
「……っぇ、ﾌﾟﾙﾙﾙﾙ!!ﾌﾟﾙﾙﾙﾙ‼
が、Aちゃんが口を開いた瞬間、名前ちゃんのス魔ホが大音量で鳴り響いた。
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作成日時：2023年9月14日 22時
