尋問、のようなもの ページ7
Aは咄嗟にポケットの中に手を突っ込むと、
先程まではあったはずの煙草の箱がポケットの中に無いことに気付く。
『……分かりません』
Aは無理やり笑顔を作りながら、ダリにそう言った。
だが、ダリは目を開きAを見つめる。
「嘘は吐かないでよ？」
汗が額から頬を伝い、ポタッ、と一つ落ちる。
Aは笑顔を作ったまま話す。
『…っあ、それアレですよ…あの、お菓子？みたいな…』
Aが言い切ろうとした瞬間、ダリは煙草を一本、箱から取り出し火をつけた。
『……っアンタ何して…』
Aの言葉などお構いなしにダリは煙草を吸い、
煙を吐くと目を細めながら口を開く。
「ほら、やっぱり煙草じゃん♪」
そして先程よりも大きく煙を吸い込み、 肺に充満させればまた口を開く。
「此れ君のだよね？」
(此奴は……ヤバい……！！)
そしてダリは、煙草を投げ捨てればAにゆっくりと近付いてくる。
『……しょ、証拠が無いですよ』
Aが逃げる間も無くダリは一瞬でAの目の前へと移動し、彼女の耳元に顔を寄せた。
「…君からこの煙草の煙と同じ匂いがするんだ」
『……』
Aは動揺を隠せない。
そしてダリはそっとAの耳から顔を離すと、何処か勝ち誇った様な笑顔を浮かべる。
「これは…確定かな？君、煙草吸ってるね。」
『……あ"〜、もうッ！！そうだよ馬鹿野郎ぉ！』
Aは半ばやけくそになりながら叫んだ。
「アハハッ！もう諦めてるじゃん！！」
『……で？私をどうするつもりなんですか？』
Aは警戒しながら、ダリに尋ねる。
「どうするって？」
『退学処分とか』
「いいや？そんなコトはしないよ」
『じゃあどうするんですか』
「…面白そうだしAちゃんには普通に学校生活を謳歌してもらうよ！」
ダリは笑顔でそう応えた。
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作成日時：2023年9月14日 22時
