発見、のようなもの ページ5
『どっかサボるのにピッタリな場所は…』
ガサガサと草むらを掻き分け、木陰になっている所に
辿り着くと、木に背中を預けて足を伸ばす。
『お、此処良いじゃ〜ん。
……さて、今の時間はぁ〜？お！7時ジャストか。もうそろそろ入学式も終わるかな』
腕時計に刻まれた時刻を確認していると、
バサバサと頭上を何かが通過する。
『あ"〜、飛んでんな〜』
そのまま視線を上にあげると、そこには鴉の大群が
空を優雅に飛び回っていた。
『…入学式だから鴉も興奮してんのか』
鴉はバビルスの入学式に必ず出現すると聞いたことがある。
『……今日シフト何時からだっけ』
そんな下らないことを呟いていると、
不意に後ろから声を掛けられた。
「あれ〜？君、新入生だよね」
『は？』
突然背後から聞こえた声に驚き振り向くと、
そこには教師服を身に纏った茶髪の教師が立っていた。
『はい』
彼女は少し警戒しつつ、その教師の質問に応える。
「あ、やっぱり！！それで？君は何で此処に居るのかな……？」
『あ〜、ちょっと道に迷っちゃって……』
(…面倒臭ぇ〜、適当にイイコぶっとくか)
「そうなんだ！じゃあ、僕が校内案内してあげるよ！！」
『え〜？！良いんですか！！ありがとうございます！！』
「いいえ〜」
__
「僕の名前はダンタリオン・ダリ！バビルスの
教師をしているよ！担当は魔界歴史！宜しくね！！」
『……私は、』
「あ〜、知ってるよ！Aちゃんでしょ？」
ダリがそう言った瞬間、彼女が石のように固まった。
が直ぐに元に戻り、口を開く。
『何で知ってるんですか？』
彼女＿＿Aに、先程までの笑顔は無くなり、表情は硬くなっていた。
Aのその質問に対してダリは、少し微笑みながら答える。
「だって君、入学式遅刻してるじゃん！そんなの先生だったら誰でも知ってるよ〜」
『あ〜、なるほど』
「いやぁ〜、前代未聞だよね！入学式に遅刻する悪魔なんて！」
『も〜、やめてくださいよ〜！！』
Aはダリの背中をバシバシ叩きながら笑う。
「あ、ごめんごめん！！でも、僕は嫌いじゃないよ！そういう子！」
『え〜？ありがとうございます！』
(第一印象からこのヒトは嫌いかな)
「じゃあ、そろそろ校内を案内するよ！」
『はい！！』
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作成日時：2023年9月14日 22時
