満月の夜に ページ2
「私は、」
どうすれば良いのかしら。
迷うと、いや、迷わなくても、何かあったら、満月の夜にここに来る。
音楽室の壁に刻まれた音が、癒してくれる気がして。
音楽祭のパフォーマンス、カルエゴ先生とは、ピアノとヴァイオリンのデュエットにすると、話し合って決めた。
曲はまだまだ、相談するとして……。
「驚かせた、よね」
特に、ムルムル先生と、ダリ統括。
落ち着いて考えれば分かる。
くじの細工。ダリ統括は、面白いことが大好きで、手に負えない、私達のことをちゃんと見てくれている、教師統括に適したヒト。
何か、理由でもあったのだろう。
ムルムル先生だって、悪気があったわけじゃない。
ただ純粋に、アクドルが好きで、私のこともご存知でいてくださって。辞めたのは、かなり前なのに。
なりたくてなったアクドルではないけれど、それでも、ファンの夢を汚してしまったのは良くない。
アクドルとして舞台に立っていた以上、責任というものがある。
でも、
でも、、
「珍しいですね、モネ先生」
「っ、イフリート先生、」
「モネ先生も煙草吸うんですね。 ……って、ここで吸っちゃって大丈夫なんですか」
「…………楽器は全て、準備室に避難させましたから」
「そうですか」
なら良かった、と笑うイフリート先生が眩しい。
…………私は。
「今日は、驚かせてしまいましたね」
「えっ? ……ああ、あれはツムルが悪いんで。あと、ダリ先生も」
「お2人の様子は、いかがでしょうか」
「んー……多少は居心地悪そうにソワソワしてますけど、モネ先生が心配するような、惨状ではないですよ」
「………………そうですか」
気持ちに蓋をするように、携帯灰皿に、煙草を押し付ける。
「…………モネ先生は、今の仕事、どうですか」
「……どう、とおっしゃいますと、」
「楽しいですか?」
「………………そうですね、毎日が充実していますよ」
「じゃあ、大丈夫ですよ」
………………えっ?
95人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Sela | 作成日時:2023年3月19日 10時