入学式より少し前の日の仕事 ページ3
「ダリ統括、こちら本日の分の報告書です。ご確認をお願いします」
地味に私の仕事量を増やしている、年中無休の悩みの種。
紙数枚とはいえ、工夫次第ではいらなくなるこの紙が本当に恨めしい。
こちとらさっさと部屋でワイン開けたいのよ馬鹿野郎共が。
「えー? 今日は3人も音楽準備室に侵入したの? 大変だねぇ」
思っていないくせに。
ダリ統括はいい加減すぎてついていけないところがあるから……要は面倒くさい。
「六不思議の中で最も騒がれていますから、【六色のピアノ】は。」
生徒は皆、ランクアップの願掛けとして、達成に必要な6つの楽譜を探しにくる。
飽きっぽい悪魔が、ここまで楽譜を求めて、準備室に侵入しようとするなんて……
お陰で準備室の鍵を年内で何回変えなければいけないのかしら……そもそも、そんな馬鹿らしい噂を信じている時点でバカだと思うけれど。
「まあ、他の五つに比べて魅力的だしね! モネ先生、僕にピアノ教える気とかない?」
「ありません」
これだからダリ統括は……。
ちなみに、私がカルエゴ先生のお気持ちをなんとなく理解できるようになったのは、全てこの悪魔のお陰である。
あの気難しいカルエゴ先生と会話できるようになったときの仲介人も彼なので、感謝はする。
感謝はする……のだけども。
カルエゴ先生って意外とちゃんとした方だ、と気づくきっかけの会話内容も彼に対する愚痴だし、感謝は……する……
する、けど………………
「イフリート先生にも話は通しましたが、本日の件で準備室の鍵が壊れてしまいまして、修理を頼みました」
「あ、また? もうすぐ入学式なのにねー」
……バカな新入生が、デタラメな噂を信じて荒らしにくる直前に、鍵の修理だなんて面倒くさい。この季節は、本当に忙しい。
無駄に仕事を増やすなバカ共。
あと、ダリ統括は一年間でやられた鍵を数えるな。
カルエゴ先生も睨むな。金を無駄にしてはいない。
私のせいじゃないっ!!!!!!
「……取り敢えず、手は打っておきます」
「え? 何か案でもあるの?」
「……試行錯誤しながらではありますが、今のところは順調です」
「えー? じゃあその前に僕にピアノ教える気はない??」
「うるさいです黙れください」
「わー辛辣ぅー(きらっ)!」
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作者のつぶやき
六不思議とか言いつつ、頭の5つは何も考えていません。
まぁ6つ目が消滅したら、六不思議の話はどうせ出さないし良いよね!!
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作者名:Sela | 作成日時:2023年3月7日 23時