キレました。ふいっ。 ページ19
「…………モネ先生。今ちょっと宜しいですか？」
あら、スージー先生？ 珍しい……。
「おはようございます、大丈夫です」
「…………これは、何でしょう？」
え？ 新聞師団の号外では？
「下ですよ、ふいっ。」
下？
「ああ、彼が噂のイルマ君ですよね。私も授業でお顔の拝見はしましたが、生憎、まだ会話したことはなくて……。」
「下ですよ。」
え？ 下………………イルマ君のお写真の下の文を読め、と。
「ああ、ピンクのお花、私も拝見しました。あれは今までのものとは違った、また新しい美しさがありましたね。流石はカルエゴ先生を召喚しただけある、」
「あ"あ"？！？！？！？！」
おっと。つい事実が。
「カルエゴ先生、おはようございます。眉間にシワが寄っていますが、コーヒーでも淹れましょうか？」
「いらんッッッッ！！！！！！」
あら、つまらない。
使い魔になったストレスが抜けていないのかしら……
そういえば、モモノキにワインをあげたと記憶しているけれど、あれは結局、どうなったのかしら。
ストレスが抜けていなさそう、ということは、まだ渡していないのかしら？ 遅っ。
「モネ先生、こちらですよ、ふいっ」
あ、そんなに下だったの……。
「……アザゼルさんの校内発表会ですか。スージー先生のご希望がありましたら、録画致しますけれど」
「違いますよ。発表する曲です」
「ああ、【六色のピアノ】の曲ですが」
「「「「「えええッッッッ？！？！？！？！」」」」」
……うるさいですね、皆さん、朝から。
「……あの曲、まさか、アメリさんに教えていたんですか」
「自分のピアノの守護を捨ててまで？」
「え？ アメリさんいいなぁ」
「最近放課後にいなかったのって……？！」
「モネ先生、」
…………ダリ統括の予想通りの行動が、覚悟していたとはいえ、少し怯む。
「僕、言ったと思うんですよね〜、『抜け駆けしないで、ピアノ教えてください』って」
「ふぃ。私も言いました、『生徒に夢の無い話はしないでほしいです』って」
悪魔は無表情に恐怖を覚えると言うけれど、笑顔もなんら変わりはないことを、私は知っている。
どちらも、自身の感情を隠す為の、仮面に過ぎないからである。
シンプルに、怖い。職権濫用。
六不思議が６番目
消滅まであと６日ーー
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作者名：Sela | 作成日時：2023年3月7日 23時
