双星の陰陽師 短編しゅー

ただ、君を想ふー軍記ー《まり様リクエスト》 ページ13

深度1870、脅威度A、ケガレcode“マレビト”

たった今、そのケガレの討伐が終わった直後だった。

のだか、私はそれで一安心出来るような状況下には置かれていなかった。

「あっ、あの軍記さん…私、大丈夫なので…」
「いや、俺の不注意だ。連れて帰る」
「で、ですが………はい…」

軍記さんの眼力に負けた。
しかしながら、この状況はどうなのだろう。




天将十二家の十二天将候補に背負われている、というのは。





いや、絶対に駄目だこれ。
軍記さんが言うところ、只今の私の怪我は軍記さんの所為らしい。


まず、ここが一つの間違いだ。
私が怪我をしたのは私の不注意であり、軍記さんは一切悪くない。

何故、軍記さんは私を背負っている？


知るか、そんなもん。私が聞きたいわ。


それを置いておいたとしても問題はまだある。
そして、一番嫌なのはこの事だ。




私の、心臓がうるさくて仕方がない。


しょうがないじゃないか、好きなんだもん。
好きな人に背負われて、ドキドキしない女子がいてたまるものか。

実際、私だって例外じゃない。

そんなことを考えている内にやっと現に着いた。
本当、この距離が長く感じたのなんて初めてだ。

「ありがとうございました、軍記さん。ご迷惑をお掛けして申し訳ありません」
「ああ、気にするな」





…






「え、これ何待ちです？」

軍記さんは一向に私を降ろす気配を見せず、そのまま歩いて行く。

「何を言っている。病院までは連れて行かなければならんだろう」
「えっ？…あー、え？いや、本当に大丈夫ですから！」
「ろくに歩けんだろう」
「で、ですが………はい…」

本日二度目の眼力止め。

その後、軍記さんがふわっと笑った。

「なら、そのまま大人しくしていろ」
「す、すみません…」

その笑顔に他の事なんて考えられなくなって、頭を埋め尽くして行った。


ああ、やっぱり私は彼が好きなんだ、と。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

まり様リクエストありがとうございました！
今後も是非っ！

お知らせ《ユーリィ様リクエスト》→←そんな君が好き。ー亮悟ー《まり様リクエスト》

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す