明日の君は。

-85- ページ2

もう一年が経った。
私が私を失った、あの日から。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

目が覚めた時、まず最初に感じたのは、私の知らない匂いだった。
そして、乾いた口内。白い部屋。子供の笑う声。痛む脚。

知らない。
こんな景色知らない。

待て。何があった。
ひとつひとつ思い出せば何か分かるはずだ。

私は土御門島の陰陽師。
思い出せる最後の仕事は本土への出張。
そこで私は婆娑羅と戦って。

あぁ、そうだ、そうだった。
あの時、私は自爆したんだ。

…実際には、自爆したように見せただけだが。

自爆の呪を唱えると同時に自分と似た式神を出し、禍野門を開錠し、爆風に乗り現に戻った。
呪力も体力も限界な所からの一気にいくつかの術を発動した事で意識は飛んでしまったのだ。

そして、ここは。

「あら、起きたのね。調子はどう？」
「え？あ、あの、私…えっと、あの、」
「あぁ、ごめんなさいね。驚いたでしょう。ここは孤児院よ。安心して、怪しいところじゃ無いから」

そんな事言われたとしても安心なんか出来ないのが人間だ。

「にしても酷い傷ね。どうしたのか、良ければ教えて貰えるかしら？」
「えっ、とこれは、仕事で…ちょっと失敗しただけで…」
「ちょっと？にしてはやり過ぎじゃ無いの？どんな仕事してるのよ」

そういう訳では無いのだろうけど責められている気分になる。
この人に嘘や誤魔化しは通用しそうに無い。

「…ケガレや、禍野の事を知っていますか？」
「いいえ？知らないわねぇ…説明してもらえる？」
「えぇ、勿論です。ケガレというのは怒りや悲しみ、憎しみ、嫉妬などの人間の負の念が集まって生まれます。それを人間界に出さない為に留めているのが禍野です」
「え？まが？負の念？悪いんだけど頭が追い付かないんだけど」

まぁそうなりますよね。

彼女も困ることあるんだと思った。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ちょっと勘久郎様とかの原作キャラ出せないかもです…
やだやだやだやだもっとわちゃわちゃさせたい！(知るか)

-86-→←-84-

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す