春ヶ丘Quartet ページ3
――パチパチ!!
「っ?!」
すごい、客席はスタンディングオベーションだ！
こんなに興奮したのは何年ぶりなんだろうな...
それにしても主演の外国人の人、本当にバイオリン上手かったな。
私のただ楽譜をなぞるだけの演奏とは違う。
それに話に合わせて冷たい孤独な音だったり暖かい春を連想させるような音色に変化させるのは至難の業なのに...！
2ndバイオリンの子も外国人さんと比べると劣るけど、私なんかよりも表現力は高い
ビオラやチェロの子も当て弾きだったけど心から音楽を、、、芝居を楽しんでるのが伝わってきた。
そしてこんなものを作り出すお姉ちゃん...
やっぱりすごいよ...
――でも、だからこそ私は復讐をする。
だってお姉ちゃんなんかが居なければ私が監督になっていたかもしれない。
初恋の子――さきょー、との恋も上手く行っていたかもしれない。まぁ初恋と言っても私が本当に小さかった時に抱いた感情だしどちらかというと憧れの方が近いのかもしれないけど
お母さんから愛されていたかもしれない
学校のみんなから比べられることは無くなって人気者になっていたかもしれない
私の人生を狂わせた貴方がそんな悠々としている資格なんて無いんだよ
『だったら嬲り殺しちゃえば？』
心の声が聞こえた気がした。
でも、そんなのつまんない。あの人は、、お姉ちゃんには一生罪を背負って貰わないとね？
と、そんなこと考えていたら気がついたらお客さんはもう私しか居なくなってしまった。
1度考え事をしだすと周りが見えなくなる癖、直さなきゃな...
なんて考えながら私は歩き出した。
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作者名：茜 | 作成日時：2020年5月30日 13時
