【w.r.w.r.d.！】赤いマフラーの彼女。【t.n】～side story～ (ページ6)

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５話ページ6

《１か月後》トントンの誕生日当日。

しまった、Aと待ち合わせる約束してたんに、委員会の仕事が長引いてもうた！！
あのクソ無能委員長、今度あんなヘマしたらただじゃおかねぇぞ。(黒笑)

待ち合わせ場所の近所の公園まで俺は全力で走った。
公園につくと、いた。寒そうに白い息を吐いている彼女だ。

「皇」

彼女が後ろを振り向くと、身長差もあってか上目遣いで不満げな顔をしている。

「トントン、遅い」
「ごめんな、委員会の仕事がなかなか終わらなくて」
「…そう」

うわ、このアングルやばいな。めっちゃかわええ。
俺変な顔しとらんかな。ニヤけてたりしたら、みっともなさすぎるやろ…

「…ベンチ座ろか」

なんか会話がぎこちないな。も、盛り上げんと。

「皇、作ってきてくれた？」

ん？楽しみすぎてさっそく本題に入ってもうた。
ムードも何もないやん、なにやっとん俺…！

「う、うん…はい」

彼女は持っていた袋からマフラーを取り出した。
２ｍ５０㎝くらいはあるだろうか。とても長い。

「おぉ、長いな」
「な、長すぎた？」

心配そうに見つめる彼女。

「いや、全然。むしろちょうどいいくらいや」

うん、この長さならいける。さすがAや。
俺は彼女からマフラーを受け取る。
このままだと少し遠いな…。

「皇、もうちょっとこっち寄って」
「えっ…！？」

俺は彼女を近くに引き寄せる。
顔が近い。今にも息がかかってしまいそうだ。

「トントン…？」

彼女は恥ずかしさからか顔を背けた。
俺はそんな彼女を見つめながら、マフラーを彼女の首に巻く。
そして長く余っている片側を自分の首に巻いた。

「え…マフラー…？」

気付いた彼女はこちらを向く。マフラーが巻かれていることに驚いているようだ。

「二人マフラーや」

状況を理解した彼女の顔はみるみる赤くなっていく。

「その…ずっとお前とこうしたかってん。
わがまま聞いてくれてありがとな」

俺は震えていた手を彼女の肩にまわし、抱き寄せた。

「…好きやで。A」

冷たく寒い季節。

だけどこの時だけは。

────── 温かいぬくもりを感じた。