8話 ページ9
その後、私の手足に縛られていた紐は彼によって外され、念のため、と彼が保健室まで連れて行ってくれた。
縛られていた手首が赤くなっていて、じんじんと痛みを感じていた。
「その…すまんな」
「え?」
器用に手首に包帯を巻いていた彼が低いトーンで話し始めた。
「俺のせいでこんなことになってしもうたから…」
「そ、そんなことないよ!」
「…え?」
「私はコネシマのせいだなんて1ミリも思ってない!」
「A…」
「だからそんなこと言わないで…?」
「……」
彼は包帯を巻いていた手を止め、視線を下に向けた。
「Aはいつもそうやったよな…」
「え…?」
「昔からコネシマ〜コネシマ〜って、ストーカーかって思うくらい付いてきよった」
「ス、スト…」
「でも高校に上がってから、俺はこの見た目からヤクザに絡まれて…周りからも敬遠されるようになった…それでも、お前はずっと俺の側にいてくれたよな」
「…!」
「俺は凄い嬉しかったよ…でもその反面…Aまで悪いことに巻き込んでしまうんやないかって…怖くなって…」
「コネ…シマ…」
「だからお前に嫌われようと必死に心無いフリしてたんや…だけどそれでも…お前は俺を見捨てんかった…」
「…当たり前じゃん」
「え?」
下に向いていた彼の視線が私を捉える。
…子犬のようなかわいらしい瞳だ。
「私はコネシマの幼馴染だよ?コネシマが優しい人だってことは昔から知ってる。
心無いフリ?そんなことしたって私には無意味なんだから」
「A…」
「それに私、コネシマの見た目とか偏見で怖いって思ってる人いるかもしれないけど…
私は昔から、好きだから…コネシマのこと」
数えきれないほど長い間、彼に対して抱えてきた思いが、この一瞬であふれ出した。
「ちょ、え、えっ…!?」
「…そ、そんな慌てないでよ、恥ずかしいでしょ…」
「あ、そうか、あーー…」
いつの間にか顔を真っ赤にしていた彼が一瞬顔を逸らすが、すぐに私に向ける。
「な、情けないなぁ…こういうのは男から言うもんやろ…」
「…?」
「あーー、だから、そのーー、あれや…
俺もずっと昔から…今も…ずっと、お前のこと、好きやで」
真剣な水色の瞳に私の顔が映し出される。
広大な空のような瞳。
私はいつも見ていたはずのそれに魅入られ、引き寄せられていった。
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ぴくるす - 特に意味は無いんだろうけど呪/鬼のra先生が体育教師だった(イメージ)からrbr先生も体育なのかなって (2021年4月3日 17時) (レス) id: 94909bedb8 (このIDを非表示/違反報告)
おにぎり(プロフ) - コネシマかっこよすぎません?思いっきりその世界に入ってしまったんですけど。幼馴染とか幸せか?いや、恵まれすぎてる! (2020年6月13日 18時) (レス) id: df74eae85e (このIDを非表示/違反報告)
美蘭(プロフ) - みかげさん» 体育教師の配役なんて一瞬で決まりましたよ、逆にこの人しかいない、って(^^)rbr先生が体育教師だったらもう体育がめっちゃ大好きになりそう( *˙-˙* ) (2020年5月26日 21時) (レス) id: 9739ce79c0 (このIDを非表示/違反報告)
美蘭(プロフ) - マナさん» 私も書き終わった瞬間、命日が来ました^-^読んでいただきありがとうございます! (2020年5月26日 21時) (レス) id: 9739ce79c0 (このIDを非表示/違反報告)
美蘭(プロフ) - ぺぺ子さん» ぺぺ子さん!初コメありがとう!心あるチワワさんに俺の女って言わせたくて))))後日談、自分的にも今までの中で1番ほのぼのしててすごく気に入ってるんだ( ˙─˙ )ありがとう!頑張る! (2020年5月26日 21時) (レス) id: 9739ce79c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美蘭 | 作成日時:2020年5月24日 20時