バナナヘッドと充電の謎の段! ページ33
忍たま長屋に戻って来た。
お嬢様奇行種と俺の部屋は別だったらしく、お嬢様奇行種を引き離すのにだいぶ苦労した。
障子を開けると、朝に見た女性が朝見た時と同じ場所でうずくまっていた。
「…………」
しくしくと泣く彼女の顔は手で覆われて見えないが、きっと目を腫らしているのだろう。
とにかく、今俺が彼女に出来ることは、彼女が何故ここから出られないのかを調べることだ。それから彼女をここから出そう。
まだ微妙に湿っている髪の毛を布で擦っていると、障子が気持ちいいくらいにスパーンッと綺麗に開かれた。
「!?」
「初めまして〜!寝る前に髪をいじらせてくださーい!」
「な、何だお前!」
「四年は組の斉藤タカ丸で〜す!元髪結いだったんですよ〜。で、さっそくいじらせてもらいまーす!」
キラーンと目を光らせてシュバっと飛びついてきたと思うと、俺は正座させられ、髪をとかされていた。
「ちょ、傷んでるじゃないですか!ちゃんとケアしないと〜」
何故この時代に『ケア』という言葉があるのだろう。
頭に後ろでシュパパパパッという何かが素早く動く音がして驚いた。これはこのバナナヘッドの手の動きか……!?
もんもんと考えているうちに、髪をいじり終わったらしい。
「明日からちゃんとケアしてくださいね〜?じゃないと僕が……ふふふ」
「わ、わかった!わかったから!」
不気味な笑い方をするバナナヘッドに恐怖を覚えた。
「じゃ、おやすみなさ〜い」
ゆる〜く手を振ると、先ほどの勢いが嘘のように静かに去っていった。
バナナヘッドにいじられた髪を触ると、驚く程サラサラになっていた。指がスルッと入っていく。
「すごいな……」
自分のサラサラな髪に感動しつつ、スマホで時間を確認した。
「九時半……あれ」
時間を確認した際に気になったことそ。それは、何故かスマホの充電が全く減っていないということだ。
任務時は九十六%だった。今も九十六%のまま。
「(どういうことだ……?)」
ついでに電波を確認したが、やはり電波は立っていなかった。当たり前か。
俺はモヤモヤとした疑問を残しつつ、香水の匂いが微かに残る布団を敷いて潜り込んだ。
泣き続ける彼女の嗚咽を聞きながら眠った……。
シュー。
一匹の黒蛇が暗闇から現れ、少女の顔を覗く。しばらくすると、黒蛇は暗闇の中へ消えていった。
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ノンノン(プロフ) - 雪姫さん» ありがとうございます!!最近忙しくて更新出来てませんでした。頑張ります!! (2017年6月11日 21時) (レス) id: 01b0da9e31 (このIDを非表示/違反報告)
雪姫 - 更新頑張ってください! (2017年6月11日 21時) (レス) id: f39048ba7b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ノンノン x他1人 | 作成日時:2017年3月30日 15時