出られない……の段! ページ12
アイツらと別れて数分もしないうちに六年生長屋らしき場所を見つけ、直感で障子を開けると見事に空き部屋だった。
「うっ」
開けた瞬間に漂う甘ったるい匂い。部屋はピンクで埋め尽くされていた。前の天女だろうか。お嬢様ではなさそうだな。
「とりあえず換気だ」
鼻を袖で覆いながら、部屋の窓を某調査兵団の人類最強のようにスパーンと開けた。
「うわあっ」
「ん?」
窓の外に、ヒビヤと同じくらいの少年が三人居た。
丸メガネのソバカス少年と、スカーフを巻いた少年、まんまる少年。俺を見て固まっている。
「い、行こう!」
「う、うん!」
「早く!」
三人はあっという間に去っていった。さすが忍者。
「だいぶ匂いは薄くなったけど……いろんなところに染み込んでるな……」
今すぐ掃除したいが道具が無いのでできない。後で誰かに聞こう。
「ん……?何だこのシミは……」
部屋を見渡していると、部屋の真ん中辺りに黒いシミが出来ていた。
「………………ああ、だからお前はここに居るんだな」
部屋の隅に、俺より二 、三歳年上の女性が、ずっと立っていたのだ。
部屋に入った時から気になっていたんだが、何故ここに居るのかわからなかったから無視していた。が、このシミを見てわかった。この女性は、この部屋で殺されたんだ。
「ふーん……今まで来たヤツら、みんな殺ったんだな」
「…………アンタ、アタシが、視えるの……?」
「ああ、視える」
「ねえ、ここから、出して。アタシ、ここから、出られないの……」
「出られない?」
「そう、出られないの……助けて、助けて……」
しくしくと泣き出す女性。俺は傍に居るしかできなかった。
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ノンノン(プロフ) - 雪姫さん» ありがとうございます!!最近忙しくて更新出来てませんでした。頑張ります!! (2017年6月11日 21時) (レス) id: 01b0da9e31 (このIDを非表示/違反報告)
雪姫 - 更新頑張ってください! (2017年6月11日 21時) (レス) id: f39048ba7b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ノンノン x他1人 | 作成日時:2017年3月30日 15時