-九頁目- 何度も何度も ページ9
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「 あ…!ちょっと…! 」
ずんずん進んでいく少年をAは小走りに追いかけた。少年は無視したままだった。
少年は開きっぱなしの扉の前に立つと真っ直ぐ銀時を目線で射抜いた。
「 ……なんだてめェ、昨日の今日で性懲りもなく 」
「 もう一度俺と勝負しろ 」
「 はぁ?おいおいそんな怪我で勝てるとでも思ってんの?Aなんでコイツを入れたんだよ。お前見張り役だろ? 」
「 そんなん初めて聞いたわ 」
いくら言っても聞かない少年に銀時はため息をつき、勝負をした。昨日と変わらず少年は負けた。銀時も勝負となったら手加減をしない為、負けた後の少年はボロボロになった。
擦り傷なんて可愛いもの、そこら中に打撲の跡があって痛々しかった。
だからAは松陽がやっていた手当の方法を思い出しながら少年を手当した。手拭いを使って冷やしたり、湿布を貼ったり。
気絶していた少年は目覚めてはさっさと帰っていって、また翌日になると使った手拭いを洗って返されて、また銀時と戦って、怪我して…の繰り返しだった。
それがもう“ひとつの光景”となっていた。
密かに少年を応援する生徒が出てきたくらいだった。
ある日、いつものようにAは掃除をしていた。以前と違うことといえば救急箱が手元にある事くらいだ。
「 ( …よし、救急箱持ったしこれでええはずや。あの男の子目の上あたり竹刀が当たって青くなっとったけど大丈夫やろか……あ、 ) 」
箒を置いて救急箱の備品を見ていたら包帯がころころ転がっていってしまった。包帯は止まることはなかった。が、誰かの手によって拾われた。
「 あ… 」
「 これ、 」
「 ……ありがとうございます。あの… 」
「 ?なんだ 」
包帯洗わんなんなぁ…と呑気に考えていたAだが、拾ってくれた人を見て驚いた。
拾ってくれた人は一つに束ねた少年だった。Aは彼に見覚えがあった。確か道場破りさんと一緒にリンチされていた人だ。(いや覚え方)
「 お前、あの道場破りさんのお友達ですよね?あの時一緒にいた… 」
「 道場破り……高杉の事か、 」
「 高杉?…あぁ、そういえば名前聞いたことなかったですね 」
「 アイツ、名乗りもしなかったのか 」
一つに束ねた少年は頭を下げた。
「 アイツが失礼なことをしているようですまない 」
「 いえ…その、頭、上げて…くだ、さい。男の人だからそんな簡単に頭を下げない方がいいような気がするので… 」
「 非礼をして、頭を下げないのは男としてどうかと思うがな 」
分かった。この子、頭固いんやな。
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運動系引きこもり(プロフ) - 琥珀@中也が尊いさん» 琥珀@中也が尊いさんコメントありがとうございます!分かりました、検討してみます! (2021年2月28日 12時) (レス) id: 9fef19786d (このIDを非表示/違反報告)
琥珀@中也が尊い(プロフ) - 表紙がすごい銀魂感。作者様が書かれたのですか?あの、作者様が書かれたのであればもし宜しければ文字がないバージョンを上げて頂きたいです。すっご表紙好きです (2021年2月28日 1時) (レス) id: bc2916a5a7 (このIDを非表示/違反報告)
運動系引きこもり(プロフ) - きみをさん» きみをさんコメントありがとうございます。あぁぁあ、ありがとうございます……ッ!更新頑張りますので是非とも本編の方も読んでいってください……!! (2021年1月31日 13時) (レス) id: 9fef19786d (このIDを非表示/違反報告)
きみを - はぁぁぁ好きすぎる、、更新楽しみに待ってます! (2021年1月30日 23時) (レス) id: 2684e373b7 (このIDを非表示/違反報告)
運動系引きこもり(プロフ) - リアさん» リアさんコメントありがとうございます……!一気読みしてくださって嬉しい限りです^^本編もどうぞ読んでください!映画は私も泣きました……。これからも応援よろしくお願いします (2021年1月26日 0時) (レス) id: 9fef19786d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:運動系引きこもり | 作成日時:2020年2月9日 17時