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「 ( 銀ちゃん達は近くに拠点を作っとるはずや。向こうに派遣されてった他の救護班達も無事やといいんやけど…… ) 」
先程は痛みに耐えていた負傷者の汗を拭う。今は安静にしているよう指示した。
軽い怪我などは派遣されてった他の救護班の人達が拠点でやってくれる。だが向こうは簡単な処置しか行えないため、手に負えない重傷者はA達の所へ送られるようになった。
……当然、救えなかった時もあった。その時のAは絶対誰にも絶望した顔を見せなかった。
「 ( これでひと通りは終わった、かなぁ……疲れたぁぁ ) 」
ぺたりと座り込む。班長は大変やなと休憩しながら思っていた。
次銀時らが帰ってくるのはまだあと数日ある。それまで彼らは頑張っとるんや、と仲間を応援し自分を鼓舞する。
そこで聞こえた。
「 ──────ぁぁぁぁ……ッ!! 」
「 ……? 」
Aは耳が良かった。だからかすごく小さな声が聞こえた。その声は悲痛な叫び声のようだ。
気になったAは立ち上がり、声の聞こえる場所まで歩いていった。三つ隣の部屋から聞こえたので襖の前に立ちそーっと開ける。
Aはそこで初めて、とてつもなく大きな声だったのだと実感する。
目に入った光景は、悲しいものだった。
あの包帯を持ってきてくれた彼女が横たわっている人にすがりついていた。横たわっている人の顔にかかっているものを見れば言わずとも分かる。
彼女は亡骸にすがって泣いているのだ。同じく部屋にいた他の救護班達もその場にいた。
Aは静かに口を開き、問いかけた。
「 ……これは、 」
「 彼女の、大切な人が……爆発に巻き込まれて…運ばれてきたので処置をしようとしたんですが、す、既に息を…… 」
「 …………… 」
Aは亡骸にすがる彼女から目を離せなかった。
大切な人を、失う。そんな恐ろしいことあってたまるかと歯を食いしばった。
Aは彼女に近づくと、周りから制止されるが無視した。
「 ……なぁ、 」
「 …!!! 」
バッ、
────今度は彼女がAにすがりついた。背中に回った手が、いや爪が布ごととはいえくい込んで痛かった。
その痛さが彼女の心を表しているように思えた。腹部辺りが濡れてる感覚があり、涙が染み込んでいってるのも分かる。
「 ……私達、約束、していたんです 」
また、声も震えていた。
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運動系引きこもり(プロフ) - 琥珀@中也が尊いさん» 琥珀@中也が尊いさんコメントありがとうございます!分かりました、検討してみます! (2021年2月28日 12時) (レス) id: 9fef19786d (このIDを非表示/違反報告)
琥珀@中也が尊い(プロフ) - 表紙がすごい銀魂感。作者様が書かれたのですか?あの、作者様が書かれたのであればもし宜しければ文字がないバージョンを上げて頂きたいです。すっご表紙好きです (2021年2月28日 1時) (レス) id: bc2916a5a7 (このIDを非表示/違反報告)
運動系引きこもり(プロフ) - きみをさん» きみをさんコメントありがとうございます。あぁぁあ、ありがとうございます……ッ!更新頑張りますので是非とも本編の方も読んでいってください……!! (2021年1月31日 13時) (レス) id: 9fef19786d (このIDを非表示/違反報告)
きみを - はぁぁぁ好きすぎる、、更新楽しみに待ってます! (2021年1月30日 23時) (レス) id: 2684e373b7 (このIDを非表示/違反報告)
運動系引きこもり(プロフ) - リアさん» リアさんコメントありがとうございます……!一気読みしてくださって嬉しい限りです^^本編もどうぞ読んでください!映画は私も泣きました……。これからも応援よろしくお願いします (2021年1月26日 0時) (レス) id: 9fef19786d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:運動系引きこもり | 作成日時:2020年2月9日 17時