松下村塾の悪ガキさん 壱 【銀魂】

-五頁目- 変わってきた日常 ページ5

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それからというもの、いおりの日常は変わった。朝から昼までかけた勉強の次に父が経営している道場………の横にある庭で素振りをしている。いおりの父によれば「 未熟者に道場に入る資格はない 」との事。



然しその父は、いおりに一日に達成しなければならない“のるま”というものを課せられていた。



素振りをして、庭にある大きな岩(・)を斬る。毎日毎日父の側付きが持ってきているものだった。
そしてその岩を斬る行為は決してまだ幼い少女にできる芸当ではなかった。


けれどいおりはこれをこなしている。こなさなければ木に吊るされるから。



最初は驚いた。自分にこんな腕力があるのだと。父に言われたときは「 んなこと出来るわけないでしょうがばーか 」って思ったが、出来た。父に報告したら無視されたが。




「 ( …よし、終わりました！岩も斬りました！素振りもしました！勉強もしました！
…行こう、吉田松陽の元へ ) 」





基本、いおりは“のるま”が終われば部屋に戻り、大量の本を読む。“のるま”が終わったあとは自由に過ごすがいおりにはそれしかやることがなかった。


でも今は違う。行くべきところがあるのだ。

そうだ、出かけることをお父様に………。





「 ( ……嫌です。そんな事をしている時間が何よりも惜しい ) 」






いおりは初めて言いつけを破った。「出かける際は何処に行くか言うこと」という言いつけを。
道場から聞こえる竹刀同士の打ち合う音に、「やぁあ！」という掛け声。そして、





「 もっとだ！脚に力を込めろ！！ 」






父の野太い声。

こういう時、いっつも思ってしまう。岩を斬れる私は指導をして貰えないのか。

でも、そんな事を考えるのも馬鹿らしくなってきた。今はいい、教えてくれる人はあの人(父)だけではなくなったから。





「 私が先生として色々教えてあげます 」






昨日会ったばかりなのに、最初だってただの不審者かと思ってたのに、

なんだか、楽しみだ。





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