-三一頁目- 満開の花 ページ31
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銀時の言葉は、Aが言って欲しくてたまらなかったものだった。この時Aは銀時に対してどんな感情を抱いたのか。
存分に泣いて、ようやく落ち着いてきた。彼の性格なら「 めんどくせー 」と鼻くそほじりながらどっかに行ってしまいそうなのに、Aのそばから離れず泣き止むまで一緒にいてくれた。
「 おい今なんか言ったか 」
「 言ってません 」
❁❁❁
気まずい雰囲気が流れる中、口を開こうとしない両者。しびれを切らしたAが申し訳なさそうに小さな唇を動かした。
「 ……本当に、いいんですか。三秒以内に立ち去ればお前の命はまだありますよ 」
「 俺殺されるのかよ 」
はぁーっと大きくため息をつかれた。すると、「 あ 」と何か思い出したかのように言葉を発した。
「 ほらよ 」
「 ……?なんですこれ…? 」
「 これ、欲しかったんだろ 」
頭にふわっとしたものが乗せられた。銀時の言葉に疑問を持ちながら坂の下まで下って川で自身の姿を見てみた。
自分の真っ黒な髪に映えた白色の花。不格好で今にも落ちそうな花がある。
何度も何度も絵本で見てきた、シロツメクサのかんむりだった。
「 ……っ 」
なんなんやろ、この感じ。胸がキュ、ってなって喉になにか引っかかったようで上手く声が出なくて、鼻がツンと痛み、また視界が歪んだ。
「 また泣いてんのかよ。泣き虫 」
「 ……泣き虫ではありません 」
「 泣いてんじゃん 」
「 泣いてない! 」
「 嘘つけ泣いてんだろーが! 」
「 泣いてないって言ってるでしょこの爆発パーマ! 」
「 んだとこのアバズレ!! 」
なんとデリカシーのない人なんだか。でも良かった、デリカシーなくて。
言い争い終わった私達はまた黙った。
肌を撫でるような風、とはまさにこの事。そんな風な風が私たちの間を通り抜けた。
「 ( ……この人が、私に対してここまでしてくれた。なら、私も少しは素直に言ってしまおうか ) 」
「 ねぇ 」
「 あ゛!? 」
「 ありがとう。
花のように満開に咲いた笑顔に銀時は息を飲んだ。
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**雪音**@テスト嫌だ(。´Д⊂) - わ、そうですよね、不躾な質問をしてしまい申し訳ありませんでした…!!勿論です!これからも応援させていただきます! (2021年1月2日 14時) (レス) id: d23b4dd949 (このIDを非表示/違反報告)
運動系引きこもり(プロフ) - **雪音**@テスト嫌だ(。´Д⊂)さん» 初めまして!ありがとうございます。質問の件なのですがそれを言ってしまうとネタバレになってしまうので控えさせていただきます……(><)お答えできず申し訳ないです。それでもまだこの作品を読んでいただけるのなら幸いです (2021年1月2日 11時) (レス) id: 9fef19786d (このIDを非表示/違反報告)
**雪音**@テスト嫌だ(。´Д⊂) - 初めましてコメント失礼します!質問なんですが、弟くんはどうなるのですか? (2021年1月2日 3時) (レス) id: d23b4dd949 (このIDを非表示/違反報告)
運動系引きこもり(プロフ) - ポンポネッラさん» コメントありがとうございます!!そうですよね、神ですよ。あの3人組は!いつか高杉さんとヤクルコの話書きたいです← (2019年11月25日 15時) (レス) id: 711990e728 (このIDを非表示/違反報告)
ポンポネッラ(プロフ) - あら!東雲さんと愉快な仲間たちの過去が覗けるなんて.......尊い(ぐへ) 個人的にショタ塾組は神だと思ってます。はい。 (2019年11月25日 4時) (レス) id: 96af192ec7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:運動系引きこもり | 作成日時:2019年11月4日 17時