幕府のボディーガードさん4【銀魂】

第156訓-■■■篇-六 葛藤させる想い ページ6

【Noside】





少し時は遡る。会議が終わったあと各自仕事に戻るが沖田は土方の部屋に先回りしてとある書類を盗み、自室で読んでいた。



「(『転海屋』ともう一つ、『飛燕海屋』。なんで野郎が姐さんの持ってた書類持ってんだ。)」



一瞬怒りが募ったが、すぐに消えた。“姐さん”と関連する物に対してもあの時の言い争いが頭を過ったから。

普段そこまで表情を変化させないAが沖田が見る中で一番変化させた顔。すごく傷付いたような顔。沖田は見えていた。




「(『飛燕海屋』の責任者の名前にチェックマークが入ってやがる。この百鬼(なきり)凛太郎(りんたろう)と姐さんは何か関係が……？)」




パラパラと捲るもチェックの色は青色で、赤く囲まれてるのはこの責任者の名前だけだった。

沖田は溜息をつきながら寝転がり、書類をほおり投げた。最初は『転海屋』だけ調べるつもりだった。けどその書類の隣にたった数枚しかない紙束を見つけたもんだから気になった。


パカッとケータイを開いてアルバムのボタンを押した。そこには今日の会議で撮ってしまったAの後ろ姿の写真。

それをじっと見つめていた。




「(……ハッ 今更何女々しいことを考えてんでィ。)」




自分が姉の事でなかなか立ち直れなかった。そのせいで仕事が忙しくなってたのは認める。(そもそも普段からサボってる)

近藤も沖田にキツいことは言わなかった。土方も深く追求してこなかった。


だからかもしれない、Aが来た時は近藤達みたいに慰めるかと思った。
だけどAはそんなことを言わなかった。厳しい口調で沖田に言った。


あの時は姉の死のこともあったがそれよりもAのあの言葉が、あの態度が、何よりも心に刺さった感覚があった。


─────ショックだった。





「(今回は俺だけが悪いんじゃねェ。姉さんにだって非があらァ。)」




ムカムカしてくる胸に気付かないふりをして寝てやろうと思ったその時、襖が荒々しく開いた。




「沖田隊長！！報告です！！」

「……。」

「連続天人殺人・誘拐事件の犯人が捕まりました！」

「！」




驚いたものの、そこまで興味はなかったが一応知っておくべきだと思い犯人の名を聞いた。
それを聞いた沖田は────





「容疑者の名前は……東雲A。自分も信じられませんが…って沖田隊長！？」





沖田は、何を思ったのだろうか。



.

第157訓-■■■篇-七 犯人はきっと私→←第155訓-■■■篇-五 逮捕

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す