幕府のボディーガードさん4【銀魂】

第172訓-■■■篇-二二 同じバケモン ページ22

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──────姐さん。


その呼び名は頭のどこかに残っているような、妙に懐かしい。

そう考えたらあの夜兎も懐かしく感じてきたな。




「(………気になる。)」




ウチはそう思って次こそ襖を開けようとしたその時、





「……今入るのはおすすめ出来んなぁ。」



「！」


「おーおー そんな飛び退かんくてもええやん。某も心っちゅうもんがあるんやから傷つくわぁ。」

「気配なく近づいてきたら誰だって警戒するわ！」





びっくりした。気配がなく、気づくのが遅くなってしまった。

目の前に現れた男は赤毛のくせっ毛で猫のように長い瞳孔、口端から見える鋭く白い牙があった。男はくつくつと笑っている。

しかも、それだけではないのだ。





「…………アンタは、天人(・・)なん？」


「ほお……♪なんでそう思うん？」





ご機嫌な様子で男は“早くネタバレしたい”とでも言うように袖の中の“何か”が動いた。


そこから見えたのは黒い黒い、四本の束になっている“蔦”。


まるで自我を持っているかのようにうねうねと動いていた。




「なんでって、人はそんな風に両肩から蔦なんて生やしとらん。」


「ははっ そうやなぁ。バケモンみたいやろ！」


「ま、まぁ……。」





な、なんなんこの男。まるでこの姿になれたことを喜んどるような……、嬉しいという感情が顔から滲み出てる。




「なら、お前と一緒や。同じ、バケモン。」

「え、」

「アンタもバケモンやろ？……漸く、同じ土俵に立てた。」




ウチが口を挟む暇もなく男は一気に距離を詰め、ウチの首を狙って蔦が伸びてくる。間一髪で避けるが蔦に付いてるトゲが首筋に掠った。

すかさず体制を低くし足元をすくうように蹴りを入れようとするが、急に頭の中が真っ白になった。





同じバケモンって……一体、




「化け物が、“人”に……なれると…思うか」




ザザッ───




頭が、痛い。





視界が、暗くなってくる。





体が、重い。






「う……。」


「苦しいか？これでも一応調合は頑張った方なんよ？」





男の蔦がウチの首に巻きついてくる。そこからぷつ、ぷつ、とトゲが刺してくる。不思議と首は苦しくなく、その代わりに頭への刺激が強かった。




「うぅっ…！」


「アンタ、バケモンやから死ぬ時に走馬灯なんて見ぃひんやろ。やから、【エラー】を修正したる。」




思い出せ、犯した罪を────。




頭を両手で抑えて痛みに耐える。
いたい、やだ、こわい、たすけて。



────ザクッ


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