第64訓-紅桜篇-五 エリザベスinヅラ ページ14
これほどの方向音痴などいるだろうか、いや、宇宙中探してもきっといない。
真っ直ぐ進めば取り上げられたものがあるかな、っていう浅はかな考えで行動してたのがいけなかったんだ。
「(また、行き止まり…。)」
もう、嫌や。引き返すの面倒臭い。
さっきから爆発音が鳴り止まないし、うるさいし、なんか船が傾いてるし…!
「(この先に道あるかな。蹴破ってみるか。)」
そう思って強行突破してみれば対峙している二人組がいた。
ようやく知ってる人に会えた。
「………何してんの?」
「そりゃ見れば分かるでしょ…ってえええぇ!?Aさん!?なんでここに…!」
「A!!」
「かつての友達に会いに来てみれば牢屋に入れられ手鎖をかけられ……ちょっと会って話さんなんと思って…ね。」
「友達ってまさか高杉…?」
「ま、そーやね。」
それよりも銀時はおらんのやね、と二人に聞くが黙りこくる。…何かあったんやろうか。
エリザベスさんはプラカードに何か書いて私に伝えようとしていたが、ある人と目が合って顔を強ばらせる。
次の瞬間、エリザベスさんの上半分が無くなった。
「エ、エリザベスぅぅぅ!!」
「オイオイ、ここはガキが来ていい場所じゃねェよ。」
「っ晋助…!」
「ガキじゃない。」
エリザベスさんの半分を斬ったのは晋助だった。エリザベスさんとは出会い方こそはおかしかったが、その後も美味しい団子屋さん紹介してくれた優しい人(?)だ。
私が晋助の登場に驚きで声を上げると、誰かが私の声を遮る。この声は…
瞬間、人影が現れあの言葉と共に晋助の腹を斬った。
「桂だ。」
「桂さん!!」
エリザベスさんの下半分からヅラが出てきた。
私は息を飲んだ。
「晋助様ァァァ!」
倒れた晋助に駆け寄る来島さん。
それよりもヅラが生きていたことに驚きで目を瞬かせる。
「ヅラ、生きとったん?」
「ヅラじゃない、桂だ。この世に未練があったものでな、黄泉帰ってきたんだ。かつての仲間に斬られては死んでも死にきれぬというもの。」
それに、とヅラは続ける。
「そんな顔をするな、A。」
するりと頬を触られ、親指でぐいっとされる。どうやら汚れが付いていたらしい。
…というか、そんな顔って私は今、どういう顔しとるんやろ。
なんというか、五年前のあの日から自分の目から光が抜けたと同時に何処か感情も抜け落ちた気がする。
「さっき知ったとはいえ、心配した。」
「…すまないな。」
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miraiwalk8(プロフ) - ありがとうございます!夜はぐっすり寝てくださいwこの紅桜篇でも楽しんでくれると幸いです! (2019年8月5日 2時) (レス) id: 711990e728 (このIDを非表示/違反報告)
ポンポネッラ(プロフ) - 遅くなりましたが続編おめでとうございます ! 2 作品目は紅桜篇ですか ! しかも高杉氏の「俺と来い」発言 ? ! 興奮して夜しか眠れません…… ! 次の更新も楽しみに待っております ! (2019年8月5日 0時) (レス) id: d2be23fc95 (このIDを非表示/違反報告)
miraiwalk8(プロフ) - 桜匁さん» ありがとうございます!!ほんと、コメントが嬉しすぎます…!ノロノロな更新速度ですが、今後ともご贔屓に宜しくお願い致します!!! (2019年8月4日 11時) (レス) id: 711990e728 (このIDを非表示/違反報告)
桜匁(プロフ) - 続編おめでとうございます! 今回は紅桜篇なのですね! また東雲さんのカッコいい姿が見られるかなーと今からでもワクワクしております! カブト狩りの回のお話も面白くて続きが今からでも楽しみです。 作者様のペースで頑張ってください。陰ながら応援しております。 (2019年8月4日 8時) (レス) id: 58c26fa576 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:運動系引きこもり | 作成日時:2019年8月3日 16時