１８９、しがみつく ページ39
A「…大丈夫よ？毎年のことだし。もう10年も経つんだから」
翔「いや、そうじゃなく…」
A「ホント大丈夫だから。先約があったんだし、それを大事にしてる翔くんのこと尊敬してるから。だから、翔くんが罪悪感を感じる必要は全くない。
…それに、これは私の中の問題だって思ってる。さっき『嫌な気持ちを分け合って軽くする』って言ってたけどお互いに選択する権利はあると思う」
翔「選択する権利？」
A「そう。何でもすべて共有って言うのは無理だと思うの。『知りたい』『共有したい』って気持ちがあっても、一方はそう思ってない時だってあるし、体調とか気持ちに余裕がなくて無理…とか。だから押し付けることはできないって。それにこんなこと…重いでしょ？」
彼女の言葉に衝撃を受けた。
翔「…Aちゃんはお父さんのことを共有するのが押し付けだって思ってるの？重いって…そんな風に思ってんの？」
A「…わかんない。でも…負担にしたくない。お父さんを理由に翔くんを縛りつけたくない」
翔「Aちゃんのお父さんの件でオレが縛られてるの？行動？気持ち？そんなこと微塵も思ったことないけど？
Aちゃんのお父さんのこと知れて、オレの親父とつながりがあって、嬉しいって思ってるぐらいだけど？Aちゃんのお父さんへの気持ちを一緒に大事にしていきたいなって感じてたけど？」
Aちゃんの目に涙がたまるのが分かった。それがあふれて涙を流し始めた。
翔「ごめん…言い過ぎた」
首を振るAちゃん。しばらくAちゃんのすすり泣く音が部屋を包み込む。
A「…ごめんなさい。分かってる…よ？翔くんが、思って…くれる、こと。…でも、ね。そう…思わないと、気持ちが…追いつかない自分が…いてね。必死なの…」
それから、立ち上がって机の引き出しから封筒を一枚出した。
A「…生きることに、しがみつくことに…必死、かな。でもだんだん、しがみつくものが…なくなっていくの…」
テーブルに置かれた封筒には、Aちゃんの名前と…下には会社の名前が書かれていた。
これ…
Aちゃんを見ると、黙って頷いた。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 909人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あい(プロフ) - まよゆりさん» まよゆりさん、潤くんのお話のときから！嬉しいです♪ありがとうございます。つながりもお兄さんの優しさも私の願望を爆発させてます。こんな風に助け合い支えあえる人たちがカップルで仲間になってたら最強ですよね。ホントうらやましい♪ (2019年5月18日 5時) (
レス) id: 6cfe9042a6 (このIDを非表示/違反報告)
まよゆり(プロフ) - 潤くんのお話の時から、楽しく読ませてもらってます。それぞれのカップルが出てきて、お話の繋がりが嬉しいです。お兄さん達に大事にされてて羨ましいなぁ。 (2019年5月13日 7時) (レス) id: 9aaaf0ab1d (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - せいこさん» せいこさん、ありがとうございます！主人公ちゃん、翔くんともに頑張りどきです。きっと二人なら野杜さんに負けずに立ち向かっていってくれるはず！今後もお付き合いください♪ (2019年4月27日 5時) (レス) id: 6cfe9042a6 (このIDを非表示/違反報告)
せいこ(プロフ) - 更新いつも楽しみにしてます。野杜さんになんか負けず、しっかり翔くんを捕まえていて欲しいですね。主人公ちゃんも、上を向いて前を見て頑張って！また、更新待ってます。 (2019年4月20日 18時) (レス) id: 40a9623dcc (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - 黒衣ちゃん！ありがとうです♪ W萌え＆爆発(笑。そして私も「やだ」 からの翔くんガードの下り好きッス)そんな萌えまくり爆発中の黒衣ちゃんを こっそり覗きに行って楽しみたい。主人公ちゃんの背中押すとこも 観察したい(笑) (2019年4月6日 6時) (レス) id: 6cfe9042a6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あい
| 作成日時：2019年3月30日 7時
