6つの色と色彩世界。【ワイテルズ】 (ページ44)

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彼からのメッセージページ44

～スマイルSide～

俺はストラが後ろを向いたのを確認すると、秒速でキーを叩いた。

～きりやんSide～
『な、なら早く暗号を…！』

「あ゛、そうだった～！解けねえよ…」
俺はパソコンの前で突っ伏した。

『はあ？…って、そんな事言ってる場合じゃなかった！Nakamu～！そっち終わったらこっちに…』
ブチッと突然通信が切断される。

「ちょ、おいシャケ！…はあ。」
…計算するか。スマイルの事も俺の思い違いだったみたいだし。

そう思って、再びパソコンの画面に視線を戻した時。
「っ…⁉」

画面が、まるで絵具で塗りつぶしたみたいに真っ黒だ。
「…え」

俺は驚いてキーを叩く。
どこを押しても反応が無い。

…一回電源落とすか。

そう思った時。
その黒い画面の真ん中から、一つずつ文字が出現した。

「⁉」
何かを口に出そうとする。
反応しようとした。

でも、上手く声が出ない。
口をぱくぱく動かして、只その白い文字が綴る内容だけに釘付けになっている。

『きりやんへ』

『お前はもう思い出した筈だよな？』
『単刀直入に言うぞ、俺の暗号を解け』

はあ...？お前が難しくしたんだろ…？
意味が解らない。

『監視されて仕事押し付けられてるから、難しい暗号じゃないと彼奴が納得してくれない』
「彼奴…？監視ってお前…⁉」

思わず声に出してしまう。
『あと基地の中盗聴器有るから、発言には気をつけること。こちらの軍部に筒抜けだかんな』

「なっ…」

『じゃあ、そろそろばれそうだから。頑張れよ』
「ま、待てよ！聞こえてんだろどうせ⁈」

少しずつ、白い文字が消えていく。
彼からの最後の文字が消えた瞬間、もう5文字、浮かび出た。
「！」

『…信じてる』
その五文字が消えた瞬間、俺のパソコンはまっ黒な画面から元の暗号画面に戻る。

「…なんだよ、彼奴。」
最早呆れの呟きしか出ない。
でも、俺の中で何かが湧き上がる様な気がした。

最後の『信じてる』
恐らくこの言葉は、彼の懇願。

カッコつけたいのかは解らないが、文面から「助けてくれ」の言葉が滲み出ている。

「…全く、お前は意地っ張りだな」
「…勝って、みせればいいんだろ？」

ふう…と一息つき、顔を上げる。

「…スマイル。絶対に、助けてやるっ！」
あの時、お前が自分を消してまで俺を助けようとしてくれたみたいに。

シャーペンを持つ。

顔を上げた彼の瞳は、怒りに震えた琥珀色をぎらぎらと輝かせていた。