Yellow ページ34
〜きんときSide〜
彼は答えない。
そのまま、茶髪の青年に杖を向けて呟いた。
「「デストロイ」」
「!」
ぶるっくから、聞いた。
『もしかしたら、魔法を使う相手と戦うかもしれない。そうしたら、『デス類』の黒魔法を相手が唱えたら、すぐ逃げること。最悪の場合…5秒で死ぬ』
自分で言っていた。が、彼は腰が抜けているのか動けずにいる。
『ただ、『デス類』の魔法は体力の消耗が激し過ぎるのと、唱えてから発動まで若干の時間が有るから、その時に逃げればおk』
ここからの間は全て4.5秒間の出来事である。
その呪文を聞いた俺は咄嗟の判断でぶるっくときりやんの間に入り、彼を連れ出そうとするので1秒。
が、途中で時間が間に合わない事に気づいた。
きりやんの口元が、少し笑みの形を作るので0.5秒。
俺は作戦を変更し、ぶるっくの身体を持ち上げて遠くに投げようとしたので2.5秒。
間に合わない…二人とも死ぬ?!
…そう思った時だ。
青い光が一瞬、2人を包み。
俺たちはきりやんの居る指令室に飛ばされた。
飛ばされた、というより「転移した」と言った方が正しいかもしれない。
それで間一髪0.5秒だ。
「?!」
俺は自分の両手を見る。
…これが自分の使った魔法なら、ぶるっくの言ったことは正しかったことになる。
…ならあのきりやんは一体…。
「きんとき、ぶるっく!?どうしたんだよ!?」
その、きりやんが俺たちを見つけてこちらに歩み寄って来た。
俺は咄嗟に立ち上がり、腰の鞘に手をかけたところで、目の前に居るのが『恐らく本物の』きりやんである事を察して、冷たい指令室のタイルに崩れ落ちた。
もし、テレポートが発動しなかったら。
恐らくぶるっくが言うには、大きな闇に呑み込まれてそのまま死んでいた。
まあ、それは結果論。
実際俺たちは生きている。
束の間、胸を撫で下ろし、立ち上がる。
「どうしたんだよ…」
…見た事を、伝えるか?
いや、彼は絶対に混乱してしまう。
此奴が混乱したら、俺たちは終わりだ。
でも…
俺は知ってる。俺は...親友には隠し事は出来ない。
あれ、この状況。
何処かで。
『ねえきりやん…俺…どうしたらいいのか、分かんないんだ…』
『どうしたんだよ、これっ!?最初っから説明しろ!』
『…きりやん、
魔力崩壊って知ってるか?』
…俺の記憶?
「どうしたんだよ、最初っから説明してみろ」
「!」
朧げな記憶と重なる様に聞こえたきりやんの声に、俺は真実を告げる決意をした。
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べにくん - 続編楽しみですね〜! (2019年7月14日 15時) (レス) id: d72e94c381 (このIDを非表示/違反報告)
凛 - 続編も楽しみに待っています! (2019年7月14日 12時) (レス) id: 9242bd45dc (このIDを非表示/違反報告)
らっきー(プロフ) - 抹茶んさん» 始めまして!全部読んだんですか?!ありがとうございます、頑張ります! (2019年6月29日 17時) (レス) id: db40170fca (このIDを非表示/違反報告)
らっきー(プロフ) - べにくんさん» ありです!亀ですが頑張ります♪ (2019年6月29日 14時) (レス) id: 689ccac82f (このIDを非表示/違反報告)
らっきー(プロフ) - 夏々さん» 有難う御座います!(*´ω`) (2019年6月29日 14時) (レス) id: 689ccac82f (このIDを非表示/違反報告)
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