6つの色と色彩世界。【ワイテルズ】 (ページ33)

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怪しい人影の正体ページ33

～BroooockSide～

「次、来る！」
その声に反応し振り向きざまに炎の剣を振ると、敵の剣を避ける為しゃがみ込む。
敵を倒せたかどうか、確認する時間は無い。

そんな余裕が有ったなら、次の敵を斬りたいぐらいの量だ。
幸い雑魚しかいないけど。

これなら多分大丈夫。

「…っていった奴を殴ってやりたい気分」
「さあ～？誰だろ…ｗ」

「お前しかいねえじゃん」
そういうきんときの声が、若干暗い。
僕は知ってる。戦ってる時のきんときの声が何時もと違った時は、

彼が命の危険を感じた時だ。

…やっと、まともに戦える奴が出て来たかっ！
ゲームやってるときはそんな心境になるが、今は違う。

「…大体っ！あ、彼奴とは今も通信が繋がってるんだぞっ！？こんなの言えねえ、彼奴が混乱して終わりだ...でも...」

あのきんときの声が震えている。
その原因は、僕らの目の前に立っている、例の彼奴だ。

そいつが、

杖を振る。すると黒い光線が、即座に僕に飛んで来た。
それを間一髪で避けると、紋章に手をあて炎を宿らせた拳で殴りかかる。
それは勿論届かない。そもそも僕は近接攻撃があまり得意ではないのだ。

「くそっ…じゃあこれは…」
僕は両手を合わせ「「ヘルファイアウエポン！」」と叫ぶ。
そうして爆炎の中に現れた炎のライフルを掴むと大ジャンプ。

基地の上のパイプに飛び乗ると、炎弾を乱射した。
「なっ！俺も当たるっつーの！」
きんときの声が聞こえるが、彼ならこの銃弾を斬る程度簡単だろう。

弾を撃ちつくし、煙の中目を凝らすと、黒いオーラはまだまだ健在だった。
「ええ～！…まあ、知ってたが」
その一瞬の次の一手を考える時間が、命取りになった。

乗っていたパイプが、彼奴の攻撃を受け音を立てて壊れたのだ。
僕の身体は煙の中に叩きつけられる。

くそ…煙幕が逆効果になっちゃった…。

不幸にもきりやんはシャークんの方の作戦の指示をしている。
僕らは敵を食い止めるのと彼奴の処理が仕事だから、きりやんがこっちをモニタリングすることはまずないだろう。

「ぶるっくっ！」
きんときが僕のところに剣を投げて煙を晴らす。

が、既に手遅れだった。
僕が目を擦り再び顔を上げると、彼奴の姿が有った。

「あ…あはは？」

僕は狼狽える。きんときの声も聞こえた。

「止めろよ…お前が本当にお前なら、目の前に居る奴が判るはずなんだろ？！」

「なあ、きりやん！？」
きんときは、僕の前に立つ、「もう一人のきりやん」に叫んだ。