6つの色と色彩世界。【ワイテルズ】 (ページ18)

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呪いと戦争ページ18

～きんときSide～

ビー、ビー、ビー、ビー…。
耳を劈く様な警報の音が鳴り、俺は木偶の剣を捨てた。
無言できりやんを見る。

彼は先程とは打って変わった真剣な表情で頷いた。

…敵の襲撃だ。

「きりやん、今日の作戦宜しく」

俺が聞くと、彼は急いで取り出したミニパッドをすすいと操作しこちらに見せた。
「今日きんときにやって貰うのは敵の誘導。上が「作戦に使う捕虜をくれ」だってさ。だから今回はなるべく殺さずにこの部屋まで」

とんとん、と彼の指がこの基地のマップの右下の部屋...通称「トラップルーム」をつつく。

そう、俺らはこの基地の中で最も優秀と言われているコンビなのだ。

俺が実践担当、きりやんが作戦と指令だ。
「はあ…めんどいけど解ったよ…」

その了解の声に溜息が混じっていた。

～きりやんSide～
きんときの生存と所在を示す青い点が、点滅しながら動いている。
彼が敵を斬る音とそれが倒れる音が、ヘッドホンから聞こえた。

『よし、此処は終わったぞ』
次に寒気がする程の冷静な声。

「OK、次に丁度6人程居る、そのままトラップルームまで誘い込めっ！」
「了解っ！」

矢継ぎ早に指示をすると、隣のPCに腕を移動し高速でタイピングを始めた。
きんときのモニタリングは不要。「戦闘の天才」に勝てる奴なんてただの兵士の中に居る筈がないからだ。

「よし突破」

敵軍部のWi-Fiのセキュリティを軽々と破り、そこから幹部のPCに接続。
ここまではお安い御用なのだが…。

マウスのカーソルを『基地見取り図』のファイルに合わせクリックをする。
と、ダイアログボックスの出現と共に60秒のカウントダウンが始まった。

「ああ～！めんどいっ！」

速攻でパスワードを特定しようとプログラムを入れようとすると。

きんときから通信が有った。
俺は驚いた。彼から連絡してくるなんて相当だ。

「え？」

『き、きりやん…助け…あ゛っ！』
「は？！どうしたんだよ！？」

俺が叫ぶが、既に通信は途切れていた。
急いでモニタリング側のPCに視線を向ける。

点滅する点が、『危険』を示す黄色に変わっていた。

「まずい！最上等兵№7が危険状態ですっ！至急応援願います！」

「何っ！？無理だ！今出払ってる！」
「くそっ！」

俺はハッキングを中止してきんときの元に向かおうともう一つのPCに視線を移すと、それは既に赤いダイアログボックスで埋まっていた。

「えっ！？」

2つのPCを見比べる。

黄色い点は既に『重体』を表す赤色に変っていた。