6つの色と色彩世界。【ワイテルズ】 (ページ21)

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朝焼けとページ21

～BroooockSide～

「朝だ」
そう呟く。

「…うん」
息を切らしながら、彼は応答した。

彼は背中に眠っているNakamuをおぶっている。

再度、沈黙。
話せることなど、ない。

僕らはもう様々な事が起こりすぎて疲れているのだ。
身体も、頭も、心も。

話すことと言えば…

「ぶるーく」
「…ん？」

「交代」
「おけ」

脳死してるような会話が続く。
彼はNakamuを背中から下ろし、僕の背中に乗せた。

ずしり、と背中に一気に重みがくる。

その沈黙が破られたのは、彼のこの言葉だった。

「着いたよ、ここが多分『黄色の国』！」
「え、マジ！？」

僕は彼の元で大きな山から下を見下ろした。
大都市だ。

中央には大きな城があり、城下町は人で賑わっている。

「彼奴らが、この国に居るってことだよな？」
「うん。きっとそうだよ…！」

「大手を振って街を歩けるのは、超久し振り…って言うか初めてだね」
「うん！」

僕らは小さい頃から追われていて、同じ学校でいつも一緒に居たから。
こんな明るい街を見るのは初めてだった。

大きな街に出ると見つかっちゃうから。
買い物をするのは闇市だった。

公園で遊ぶと捕まっちゃうから。
外で遊んだことは無かった。

僕らは上位魔法族…つまり貴族の子供みたいなものだったから。
学校にもガードマンが居るわ、何処に行っても必ず見張りが居るわで。

何処にも『自由』は無かった。

まあ僕は家を捨てて、シャークんは隔離されたからある種の自由を手に入れたんだけども。
それは孤独で、一人で追われることになるだけのうわべだけの『自由』だったから。

「…俺、みんなが変に成ってまで此処に来た意味、判んなくなりかけてた」
「…僕も。」

「でも今初めて、『頑張って良かった』って思えた。」
「…僕も！」

頭の中で『自由』と言う単語が渦巻く。
彼の口調も、段々明るく成って来た。

「行こうか、ぶるっく！」
「うんっ！」

「「僕/俺たち自由だっ！！」」

2人の声が重なった。