無茶 ページ28
〜シャークんSide〜
「っ！！」
かっと目を見開く。俺の目の前にあったのは真っ白い天井と、俺の隣で眠るきんときの姿。
記憶を取り戻したらしい彼は、ベットに青み掛かった艶やかな黒髪の頭をのせ、すうすうと静かな寝息を立てていた。
「…おはよ、きんとき」
彼が寝ているのなら好都合だ。昨日目覚めた俺はすぐに彼らの元に向かおうとしたが、此奴に「死ぬ気か」と止められていたから。
ああ、死んでもあいつらを守るよ。
「…じゃあな。お前は無理したりすんなよ」
その言葉に大きな矛盾が含まれているのに気付き、ふふっと笑った。
〜きんときSide〜
ぽかぽかした日差しが黒髪に集中して熱を帯び、俺は眼を覚ました。
顔を上げると、そこに寝ていたはずの彼の姿が無い。
「はあ...」
事情を悟り、溜息をつく。なら俺もいくしかない、か。
「まあ治ったら行く気だったけどね、俺も」
まだ起きたばかりで凝っている肩を回しながら、俺は基地の部屋を出た。
〜BroooockSide〜
10秒前、戦局を大きく変える出来事が起きた。
「あ゛っ！！」
きりやんの悲鳴が響く。僕らも長く続く戦いのせいで疲れていた、だからかもしれない。
驚いて彼のほうに目を向けると、決して地面ではない筈の床から怪物の様な触手が姿を現し、彼の身体を縛り上げている。
「きりやんっ！！！」
敵の召喚獣と戦っていた僕は、目の前のトラと大鷲の化け物を魔力最大出力で一気に炙ると、触手に向かって走った。
その時、僕はこの紫色の触手の正体を知る。
「毒草…！」
はっと高いところまで持ち上げられてしまった彼の安否を確認する。
彼は最初は抜け出そうと抵抗していたが、触手から時々吹き出る毒に少しずつだが確実に体力を削り取られていき、元々爛々と怒りを宿していた琥珀色の光は虚ろになっていた。
「ぶる、っく、来ちゃ、駄目…」
やっとのことで聞こえた彼の切れ切れな声。
「待ってて、今助けるからっ！」
咄嗟の考えで炎でマフラーを作りだし口に当てるようにまくと、魔法を加えて増強したジャンプで怪物草のてっぺんまで上ると、右手から炎を出して紫色に焦げ色の筋を作っていく。
地面に着地して腕をついた瞬間、後ろから不気味な奇声と爆発音。
オレンジ色のフラッシュが、僕の目にもぱちぱちと映る。
「きりやんっ！！！」
上から金色と黒色の青年が、紫色の破片と共に落ちてくる。
しかし、その彼の身体は遠すぎる。
このままじゃ落ちる、間に合わないっ！！
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すみれ - 完結からずいぶん遅れましたけど完結おめでとうございます!とてもいいお話でしたよ!最高のお話ありがとうございました (2022年10月19日 17時) (
レス) @page38 id: a70cb7c9e5 (このIDを非表示/違反報告)
らっきー(プロフ) - 更新遅れてほんっとにごめんなさい…。ていうか今日の掛けあい分かりにくっ？！ちゃんとスペース開けたのに…。 (2019年7月23日 20時) (レス) id: db40170fca (このIDを非表示/違反報告)
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