あきらめろ ページ8
〜BroooockSide〜
「きりやんっ！スマイルッ！」
僕は重い扉を開けると、ばたばた音を立てながらスマイルときりやんの所に走る。
彼は部屋の床の上に寝ていて、その上からきりやんが覚えたての治癒魔法で傷を治していた。
きりやんの手から迸る白い光が彼の傷に当たる度、彼は苦しそうな声で呻く。今まで見たことのないような彼の痛々しい姿に、僕は衝撃に似た感情を覚えた。
僕は寝ている彼に近づくと、口を開いた。
「…スマイル」
すると彼は僕のほうにゆっくり茶髪の頭を動かして、たどたどしい声で話す。
「…ぶる、っく、なのか？…はは、なんだか、知ら、ないけど、よく、見えない、な」
「ねえ、なんでこんなことしたの」
自分でもこんなに声が低くなったのに驚いてしまった。
彼の顔が少し曇ったのが見える。
「僕の記憶の混濁を消去したの、スマイルだよね？でこんな、わかりやすすぎるヒントを残した」
ポケットから、5つの色に光る魔力魂を取り出し彼の前に転がして見せた。
彼の虚ろな紫苑色の瞳孔が、確実に広がる。
「スマイルも持ってるんでしょ？最後の、魔力魂。…僕の、赤色。」
「！」
「…それ貸して。そしたら、きんときの記憶も...「戻らな、いよ」
「え？」
僕の予想は間違っていた？
「これは、ただの、複製。…本物はあ、いつが持ってる」
彼はゆっくりポケットを探ると、ころり、と赤いクリスタルを床に転がした。
やっと、揃った。
「あいつって」
「…黒、の王。…それできん、ときの記憶、は、もどら、ないよ」
「そっ、か。」
…結局、そいつを倒さないと無理、か。
するときりやんが叫んだ。
「…いいからもう無理すんな！喋ると傷開くから寝てろって！」
「だ、から俺はもう駄目なん、だって…」
「そんなになるまで何があったんよ？」
僕が聞くと、代わりにきりやんが答えた。
「色々尋問されて、抵抗はしたんだけど負けてこの様。…呪いもかけられてる」
「そん、ないいかた、無いだろ…。俺は、お前らを、守るために「自分が犠牲になっても良い？」
「ああ、当たり前...だ」
全く、6人そろって考えることが同じなんだから。
「だから！諦めんなって、前も言ったろ？」
「…無理だ」
「もう、俺が自由に生きられる、そんな夢に酔う時間は、終わりにしたいんだ」
「…そんな」
「この呪いは、もうすぐ、俺の身体すべてに、かかる。…そしたら、俺は心、も自我も、何もかも失う。…俺はお前らを殺すだろう」
Next:奇跡を夢見ちゃ駄目なのか
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すみれ - 完結からずいぶん遅れましたけど完結おめでとうございます!とてもいいお話でしたよ!最高のお話ありがとうございました (2022年10月19日 17時) (
レス) @page38 id: a70cb7c9e5 (このIDを非表示/違反報告)
らっきー(プロフ) - 更新遅れてほんっとにごめんなさい…。ていうか今日の掛けあい分かりにくっ？！ちゃんとスペース開けたのに…。 (2019年7月23日 20時) (レス) id: db40170fca (このIDを非表示/違反報告)
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