「最良」は？ ページ21
〜スマイルSide〜
「…っ！」
目を覚ますと、そこは知らない部屋のベッドの上だった。
ここは…
まあ何処でもいいや。
あれ、俺…何してたんだっけ。
徐に立ち上がるとそんな喪失感に襲われ、意味も分からぬままもう一度ベッドに座り込む。
「俺…」
胸に手を当てると、抉られる様な痛みが走った。
そして、同時に記憶が飛び込んでくる。
「あ゛」
俺は、ここにいてはいけない。
俺は、
彼らから離れなければいけないんだ。
そんな思いに駆られ、俺は急いで部屋を出た。
廊下をひたすらに走る。
ふと、手前の部屋のドアが開き、中からパンダパーカーの青年が出てきた。
必然的にその悲しそうな瞳と目が合う。
「…スマイル！！」
彼は俺を認識した瞬間、複雑な表情で叫んだ。
「…どけ」
俺はそれを突き飛ばすと、走るスピードを上げる。
「待てよ、お前傷が…」
その声は、無視した。
〜NakamuSide〜
「スマイルッ！駄目！」
再度叫ぶ。
返答は、
帰ってこなかった。
「…な、んで」
膝をつき、徐に地面に伏せる。
やっぱり。
「俺は、無力なのかっ…？」
誰も、
「きんときも、シャケも、スマイルまで守れなかったっ…」
＿＿誰も守れない
俺は、守られる側だったんだ。
やっと知った。
「頼む…いかない、で…スマイル…」
掠れた声は届くはずが無く。
「…」
…シャケが昏睡状態に陥ってから、今日で数日が経つ。
原因は呪いによる発作と、無理な「戦闘モード」移行による力の暴走。
彼の身体には、彼のモンスター級の体力でも全く補えない程の負荷が掛かっていた。
何故呪いが復活したのかは誰にもわからない。
スマイルなら、知ってると思った。
なのに。
「俺たちは…どうすりゃいいの」
シャケの容態は深刻だ。きんときも回復中だが無茶は駄目。
残ったのは俺、きりやん、Broooock。
どう考えても俺が足手纏いだ。
でも…
「…せめて」
せめて最後に、俺だってヒーローになってもいいかな。
俺だって、無茶が出来ないわけじゃない。
記憶と魔法の混濁は、また正確に治った訳じゃない。
俺はシャケとごちゃまぜになっていた。
「俺だって、出来るんじゃないか？」
そうだ。
俺の魔法は、まだ。
「シャケより強いじゃん」
ぼそっと呟き、勢いよくドアを開けた。
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すみれ - 完結からずいぶん遅れましたけど完結おめでとうございます!とてもいいお話でしたよ!最高のお話ありがとうございました (2022年10月19日 17時) (
レス) @page38 id: a70cb7c9e5 (このIDを非表示/違反報告)
らっきー(プロフ) - 更新遅れてほんっとにごめんなさい…。ていうか今日の掛けあい分かりにくっ？！ちゃんとスペース開けたのに…。 (2019年7月23日 20時) (レス) id: db40170fca (このIDを非表示/違反報告)
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