手紙 ページ9
◇
御館様は反対される事を予想していた様に口を開いた。
「では、手紙を…」
「はい、こちらの手紙は
一部、抜粋して読み上げます」
‘’__炭治郎が、鬼の妹と共にあることをどうかお許し下さい”
“禰豆子は強靭な精神力で、人としての理性を保っています”
‘’飢餓状態であっても、人を喰わず、そのまま二年以上の歳月が経過致しました”
“俄には信じ難い状況ですが、紛れもない事実です。”
“もしも、禰豆子が人に襲いかかった場合は、竈門 炭治郎及び__”
“鱗滝 左近次、冨岡 義勇が腹を斬ってお詫び致します”
『!!』
義勇殿へと視線を移した後、竈門を見遣ると手紙の内容を聞いた竈門の瞳から堰を切ったように涙がポロポロと溢れ出していた
追い討ちをかけるようだが、義勇殿が腹を斬る覚悟をしている、自分も竈門を信じる覚悟をしたのだ…僕も、僕自身の命をかけよう。
『御館様、この場での口出しお許し下さいませ。
__其の瞬間が訪れてしまった時、僭越ながら雪曇 Aも腹を斬りお詫びさせて頂きたく思います。』
◆
「ッ雪曇さん!どうしてッ…会ったばかりの俺に…」
その時、炭治郎は自分自身や妹の為にこんなにも想ってくれる人がいるという事実に涙が止まらなかった。
だが疑問にも思った。
何故あったばかりの自分にここまでしてくれるのか?と…
『僕は君を信じると言った。ただそれだけだ。』
雪曇さんからは、冷たい氷のような無表情を裏腹に、とても優しい陽だまりのような穏やかな匂いがした。
◇
「…切腹するから何だと言うんだ。
死にたいなら勝手に死に腐れよ、何の保証にもなりはしません。」
「不死川の言う通りです!
人を喰い殺せば取り返しがつかない!!
殺された人は戻らない!」
柱二名の厳しい意見に、御館様は静かに頷く。
「確かにそうだね。
人を襲わないと言う保証ができない、証明ができない。
ただ…人を襲うという事もまた、証明ができない。」
「!!」
「禰豆子が二年以上もの間、人を喰わずにいるという事実があり、禰豆子の為に四人の者の命が懸けられている。
これを否定する為には、否定する側もそれ以上のものを差し出さなければならない。」
「……っ」
「……むぅ!」
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視点の切り替えが激しいと思いますが、見にくかったらごめんなさい!!
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渦(プロフ) - 星猫さん» ありがとうございます!コメント返信遅くなってしまって申し訳ないです!!これからも頑張って更新させていただきますね! (2021年9月15日 21時) (レス) id: d1870f2c27 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 初めまして!とっても素敵ですね!高評価しました! (2021年9月9日 21時) (レス) id: f84c743866 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:渦 | 作成日時:2021年1月6日 1時