善良な鬼と悪い鬼 ページ6
◇
『屋敷の隅まで騒音が響いているんだが。』
案の定、そこに着くと人騒ぎあったようだ。
風柱と一般隊士が地に伏していた。
風柱は相変わらず血の気が多いようで、暴れたりないのか僕にまで突っかかってきた。
「何でお前が柱合裁判に首突っ込んでだァ?
お前の階級は“甲”だろうがァ?」
『あぁ。』
我関せずといった態度で応えると、ビキビキと血管を顔に張り巡らせる風柱。
「いけすかねェ野郎だなァ!!」
知らぬ存ぜぬだ。
騒いでいる風柱を無視し、胡蝶に声を掛ける。
『胡蝶、状況は?』
「そこに伏せてる一般隊士の少年と冨岡さんが隊律違反を起こしたんです。」
『やはり。』
だが、どんな隊律違反を起こしたんだ。
真面目な義勇殿がそんな事をするとは信じ難い。
「ド派手に違反していてなァ!煉獄とどっちが派手に鬼を斬るかさっき話してたところだ!!」
「ああ!先程も言ったがやはり裁判の必要はないと思う!」
『鬼?』
手に力が篭った。
鬼とは何だ。もしや内通者だったりしたのか。
「えっと…そこの一般隊士の子の妹が鬼で、その子が木箱に妹を入れて行動していたみたいなの…冨岡さんもその事を知っていたみたいで…」
甘露寺さんの説明で概ね理解はできた。
だが、
『…鬼は駄目だ。』
「
「善良な鬼と悪い鬼の区別もつかないなら柱なんてやめてしまえ!!」
『!』
「てめェェ…ぶっ殺してやる!!」
鬼は駄目だ。非道で腐りきった血に飢えた虫螻。
気紛れに人を嬲り殺してはそれに快感を感じる屑。
人の愛する者を奪い、奪われた人間の苦悶の表情に嬉々とする塵。
憎くて憎くて憎くて憎くて憎くて堪らない
幾千と屠ろうが蛆のように湧いて出て、全てを奪っていく。幾万と屠ろうが僕の家族は二度と戻らないんだ。
__だから少年のその発言を聞いて疑問を覚えた。
不思議と不快感は生まれなかった。
無理やり鬼にされ、その欲求を押さえ込めずに家族や恋人、見ず知らずの人を襲い苦しんでいた鬼が居たのかもしれない。
そんなこと今まで一度も考えたことが無かった。
鬼は僕の中で必ず悪でそうでなくてはならなかったから。
善良な鬼と悪い鬼か…
『そこの少年』
顔を僕の方に向けられ赫灼の瞳と目が合う。
弟と同じ目をしていた。
彼が妹を思う気持ちは僕が弟を思う気持ちと一緒だ。
何としてでも妹を守りたいよな。わかるよ。
本来ならこんな事は絶対に思わないが、僕はこの子を信じたい。
何より助けたい。
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渦(プロフ) - 星猫さん» ありがとうございます!コメント返信遅くなってしまって申し訳ないです!!これからも頑張って更新させていただきますね! (2021年9月15日 21時) (レス) id: d1870f2c27 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 初めまして!とっても素敵ですね!高評価しました! (2021年9月9日 21時) (レス) id: f84c743866 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:渦 | 作成日時:2021年1月6日 1時