序章 ページ2
◇
___小さな頃から雪が大好きだった。
雪が降った日の夜、辺りはいつも閑散としていたけれど、陽の光が昇るにつれて一面の雪景色が輝いて見えるから。
大好きな年子の弟と一緒にまっさらな積雪に足跡を残したり、時には寝転がったり…
かまくら作りに雪合戦、数えきれないくらいの事をして遊び回った。
.
その日もそんな平凡な一日になるはずだった。
『
「分かったよ姉さん!薪割り終わったらすぐ追いつく!」
その一言を聞くのと同時に軽く積もった雪の上を蹴飛ばすように駆ける。寒さで鼻が真っ赤になって、吐く息が羽衣のように白くなっていく。
遊び場についたら、雹くんが驚くほど大きな雪像を作ろうかな!
『ふふ!!雹くんの腰を抜かしてやりましょうか!』
.
.
.
『雹くんおそいなぁ…』
もう日が落ちちゃう…
薪割りの後に、父上にお使いでも頼まれたのかしら。
これ以上待っても日が落ちちゃうし、雪女に連れてかれる時間を過ぎて遊んだら母上から折檻を受けてしまう。
ん〜〜帰るその一択しかないかな、
それにしてもなんだか…
『なんだか嫌な静けさだわ、』
いつもの閑散とした雰囲気とは違う。
走って帰ろう、何だか嫌な予感がする。
____はぁッはぁ…!
駆け出してから数十分、雪に足を取られながら家路につくとだんだん目的地が見えてきた。
遠目からでも見て分かるほど異様な空気を家を包んでいた。
___ッはぁ!
表門にいつも居る護衛の与太郎さんと秋彦さんが立ってない。絶対におかしい。
馬鹿がつくほど生真面目で、仕事命になりすぎて恋人に振られるような二人が仕事をサボるはずないっ!
『母上!父上!!!ひょ…う…』
真っ赤だった。
部屋中異様なぐらいで…
赤色以外の色の存在を探すのが大変なほど。
『う…ォッオ"ぇエェ』
胃から吐瀉物がせり上がってきて、抑えることが出来なかった。
穏和な父上の下半身が無かった。
厳しくも聡明な母上の首や腕が無かった。
護衛の皆や侍女の皆も…
まるでナニカに喰い荒されたように残骸の山が異臭と共に部屋中に満ちていた。
『雹…雹は?!!!』
『ッ!』
家中を探し回りついに見つけた…
雹の髪束に、着物の残骸。
それに血の海。
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その日女としての雪曇 Aは死んだ。
私から全てを奪ったものを抹殺する為に。
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渦(プロフ) - 星猫さん» ありがとうございます!コメント返信遅くなってしまって申し訳ないです!!これからも頑張って更新させていただきますね! (2021年9月15日 21時) (レス) id: d1870f2c27 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 初めまして!とっても素敵ですね!高評価しました! (2021年9月9日 21時) (レス) id: f84c743866 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:渦 | 作成日時:2021年1月6日 1時