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面構さんの話が終わり、診察の帰りがてら喩語と話そうと思った。珍しい苗字だし案外近い部屋だったからすぐに見つかった。
ノックをしてみるが、反応が無い。不在だったのだろうか。また来るかと踵を返そうとした時だった。
「どうぞー」
軽やかな声が戸を隔てて聞こえた。引き戸を開けて病室に入る。喩語以外患者のいない3人部屋だった。
俺の姿を確認した途端にその葡萄茶色の双眸を瞬かせた。俺が来ることは予想外だった、と物語っているようだった。
反応が遅かったので何かやっていたのかを聞いたが、特に何もしていなかったらしい。きっとまた何かを考えていたのだろう。
「お前、ヒーロー殺しと会ったのは初めてだよな」
早速本題に入ることにした。喩語は少しの間を置いて、初めてだと言った。その後も特に違和感のあるようなことは言わなかった。やっぱり俺の思い過ごしなのだろうか。
面構さんの話を口外しない、と言う喩語に嘘の色なんて見えなかった。
そんな口が軽いようには見えないと言うと、嬉しそうにおどけていた。
いつものこいつとは全く違う、飄々としたような、底の見えない笑顔じゃなくて、泣いた子どもを笑わせる時のような、明るい笑顔だった。会話の暗さを紛らわそうとするような奴には見えねえが。
凝視していると、気付いたのか困り顔になっていた。
……やっぱり、非常時に変に落ち着いているだけで悪意のある奴には見えない。
USJの時も、敵の様子を観察して脳無を止めろと言ってきた。敵に関して詳しかったし、個性か何かなのだろうか。索敵系の個性も持っているのだろう。
となると複合個性は確定か。
「女子の顔をそうまじまじと観察するものじゃないよ」
わざとらしく両手で自分の頬を覆う彼女はやっぱりいつもの喩語だった。
「個性」
「え？」
「やっぱりお前の個性が気になる」
苦笑いをされた。そんなに自分の個性が嫌いなのか、教えたくないものなのか。散々見られているのに。
「交換条件だねー……」
ああそういえば前に、自分の教えたくないことについて教えてくれるなら……みたいなことを言ってたな。
火傷についてなら、もう緑谷に話しちまってるしもう話してもいい気がしなくもない。
ところが、こいつが出した条件は全く違うものだった。
「君から見た緑谷について、だ」
ここで、緑谷。前にも聞かれたはずなのに、何故なのか。
こいつはもしかして、緑谷のことが好きなんだろうか。
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りっぴい(プロフ) - 作品全部読ませて頂きました！質問なのですが、この作品のように字や背景を変えるようにするにはどうすればいいのでしょうか。 (2018年4月7日 0時) (
レス) id: 72a6f55e69 (このIDを非表示/違反報告)
廿楽(プロフ) - 冷やしチョコさん» 個性が好評のようで嬉しく思います。文才は……大変恐縮です。更新頑張ります！ (2017年8月29日 9時) (レス) id: b2aca56a6e (このIDを非表示/違反報告)
廿楽(プロフ) - ログインしたくない病さん» 評価だけでなくコメントまでしていただけて私はとても嬉しいです。ありがとうございます。 (2017年8月29日 9時) (レス) id: b2aca56a6e (このIDを非表示/違反報告)
廿楽(プロフ) - 牙夢さん» 今回は更新じゃなくて申し訳ありません。続編もお楽しみいただけるように努めたいと思います。 (2017年8月29日 9時) (レス) id: b2aca56a6e (このIDを非表示/違反報告)
冷やしチョコ - 文才があるってこういう事なんだな…としみじみ思います。個性のアイディアが面白いし、何より小説の内容が面白いです。更新楽しみに待ってます！ (2017年8月29日 0時) (レス) id: 691aea1734 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：廿楽
| 作成日時：2017年8月13日 3時
