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「緑谷に関しては、前話した時と変わらねえよ」
「あら、あれから仲良くなったから何かしらあったと思ったのに」
残念、と大げさに肩を竦ませた。別にこういう答えが返ってくるって予想できなかったわけじゃないけど、火傷に関しては聞きづらかったから。
だってきっと、彼は話してしまう。私はそれにどんな顔をしていいかわからないし、それに対して相応のことを教えるなんて出来ない。だから躱すことを前提として緑谷について聞いたんだけど、一応真剣に考えてはくれたみたいで、申し訳なくなった。
「じゃあ私の個性に関しても1つだけ」
「話してくれるのか」
そんな期待の眼差しを向けられても困ってしまう。
「話すっていうか、ここじゃ見せるわけにもいかないから、緑谷に聞けば教えてくれると思うよ」
私はあの人に1回、ヒントを与えているからね。と付け加えて、先程自販機で購入したペットボトルの緑茶を飲む。程良い苦味が口に広がった。
「……緑谷と仲良いな」
程良い苦味が噎せたことによって鼻にも広がった。轟君がそういう切り返しをするとは思っていなかった。不覚。
「けほっ……仲良かったら、そんなこと聞かないよ……」
「それもそうか」
「優しい人ではあるけどね」
優しい、お人好しじゃ片付けられない何かを持っている気もするけど。
結局その日の話はこのまま緩やかに終わり、次の日には退院となった。
比較的怪我が軽い轟君も一緒に退院し、エンデヴァーのところへ戻ることにしたらしい。「あいつから学べることは学んでおきたい」と言った後に、「それに実際やってもねえのにヒーロー殺しを倒したことにされたアイツがどんな顔してるのか見てえしな」と緑谷に言っていた。これには緑谷も苦笑いである。
勿論私も。本当にエンデヴァーのことになると意地が悪くなるな。いやまあ、これでも関係は改善に向かっているんだろうけど。
そうして私達2人は病院を出た。
……結局、飯田君には断られてしまった。「この左手は本物のヒーローになるまで残しておく」と。
彼の意志だ、断られたなら仕方がない。「そっか」としか言いようが無かった。無理矢理治すことだってやろうと思えば可能だったが、あんな顔で言われたらそんな行為は裏切りにしかならない。私はあくまで飯田君を尊重したかった。
飛行機が青い空を駆ける。あっと言う間に見えなくなって、残ったのは飛行機雲だけで、それもそのうち空に溶けていった。
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りっぴい(プロフ) - 作品全部読ませて頂きました！質問なのですが、この作品のように字や背景を変えるようにするにはどうすればいいのでしょうか。 (2018年4月7日 0時) (
レス) id: 72a6f55e69 (このIDを非表示/違反報告)
廿楽(プロフ) - 冷やしチョコさん» 個性が好評のようで嬉しく思います。文才は……大変恐縮です。更新頑張ります！ (2017年8月29日 9時) (レス) id: b2aca56a6e (このIDを非表示/違反報告)
廿楽(プロフ) - ログインしたくない病さん» 評価だけでなくコメントまでしていただけて私はとても嬉しいです。ありがとうございます。 (2017年8月29日 9時) (レス) id: b2aca56a6e (このIDを非表示/違反報告)
廿楽(プロフ) - 牙夢さん» 今回は更新じゃなくて申し訳ありません。続編もお楽しみいただけるように努めたいと思います。 (2017年8月29日 9時) (レス) id: b2aca56a6e (このIDを非表示/違反報告)
冷やしチョコ - 文才があるってこういう事なんだな…としみじみ思います。個性のアイディアが面白いし、何より小説の内容が面白いです。更新楽しみに待ってます！ (2017年8月29日 0時) (レス) id: 691aea1734 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：廿楽
| 作成日時：2017年8月13日 3時
