episode31 ページ34
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”プレイボール”
ついに火蓋が切って落とされた。
試合は思っていたよりもずっといい勝負になり、白熱した戦いを繰り広げた。
2回に我らが今市チームが1点先制するも、3回には登坂チームが2点を追い上げる。4回に今市チームが1点を返し、同点で最終回を迎える。
7回裏同点、1点でも入れることが出来たら勝利の張りつめた空気感。
次にバットを握るのは、私だ。
今日一番の心臓の音とともに打席に足を踏み入れる。
あの頃の感覚が脳裏に蘇ってきた。
一球目は高めのボール。
そこからたて続けに二球のファールで追い込まれてしまった。
ピッチャーが有利のカウント。
グローブのパンッという乾いた音とともに、ピッチャーの手から球が放たれた...
”カキーン”
向かってきたボールを弾き返した私は、一塁ベースを駆け抜けた。
「セーフ!!」
審判が声高々に叫んだ。
やったー!と思ったのは束の間、直後に足首に鈍い痛みを感じる。
「うっ。」
だが休んでいる時間はない。試合中はアドレナリンがどうにかしてれるはず。
次に打者がサヨナラホームランを打ち、ゲームセットとなった。
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作者名:さえ | 作成日時:2019年5月26日 10時