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episode21 ページ24

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「はい、カシスオレンジ。サービスよ!」

奥さんは今までの光景が目に入っていたのか否か、それだけを言うとカウンターの奥へ行ってしまった。



さっきまでは晴れていたのに、今はしっとりと雨が地面を濡らしていた。
まだ9月の暑い時期に降られると、湿度と気温が相まって余計に暑さを感じて困る。



でもやっぱり...雨は嫌いじゃない。



登坂さんは嫌いだろうか。
さっきまで外を眺めていた彼は、雨に興味はないと言わんばかりに窓に背を向けていた。

おもむろに手を挙げると、奥さんに今日何杯目か分からないビールを注文した。


そして今度は私の方に視線を持ってくると、「なに、何でいんの?」と言う。



...そんなこと言われましても。
そっくりそのままお返ししたいくらいで。
でも今日はどこか険悪な雰囲気を纏っている登坂さんにそんなことが言えるはずもなく、漫画の様にあたふたしていると突然肩を揺らして笑い始めた。

ハハッ
「そんなに焦ることねーだろ?
俺だって別にお前に怒っちゃいねぇんだし。」

『あっ、えっ、はい...』
急な展開過ぎて言葉を上手く紡げない。


この微妙な空気に耐え切れなくなった私は、奥さんを呼び本日2杯目のお酒をいただく。
さっきのカクテルとはうって変わって豪快にビールだ。





すると彼は「俺な...」と、おもむろに口を開き始める。

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作者名:さえ | 作成日時:2019年5月26日 10時

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