episode22 ページ25
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「俺な、3年前に彼女に浮気されてさ。
そんで最後は捨てられたの。
そん時はさー、参っちゃったよね。
なんだかんだ大好きだったからさ。」
優しい目。
こんな柔らかい表情の登坂さんを目にしたのは初めてだった。本当に愛していたんだと思う。
「''あなたといても楽しくないの''だとよ。
そっかー、じゃあ別れよっか。
...とは言えなかったんだよなー、俺。」
こんなにも喜怒哀楽がある人なんだ。
と、不覚にも当たり前のことを考えてしまったりする。
「あんたならどうする?
大好きだったコイビトの浮気現場見て、一緒にいても楽しくないって言われて、捨てられる人生。」
今にも消えてしまうんじゃないかという顔で聞いてくる。
「って、なんでこんな話してんだろ。
ごめんな、忘れて。」
『...忘れられません』
言葉が口を衝いて飛び出した。
自分自身が1番ビックリしている。でも、本心なのは間違いない。
忘れて無かったことにすることだってできたはずなのに。
そう出来なかったのは、きっと私の過去のせい。
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作者名:さえ | 作成日時:2019年5月26日 10時