episode12 side登坂 ページ15
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今思い返してみると、でき過ぎた彼女だったのかもしれない。
「別れましょう、臣。」
座っていた椅子から立ち上がりながら、いつものトーンと変わらずに話してくる彼女。
「なぁ、どうして...」
俺は納得できなかった。
「あなたといても楽しくないの。」
言葉の一つ一つが刃となり俺の心臓を切り裂いていく。
「ねぇ、優しいだけじゃダメなのよ?恋愛って。面白みがないわ。最近は私を抱いてくれる回数もめっきり減っちゃって。あなたと一緒にいるメリットを感じなくなったのよ。」
さらりと言ってのけた。
この恋はいつからか、俺の一方通行になっていた。
「だから、さようなら」
彼女は一緒にいたオトコと指を絡ませ、店を出て行った。
1人取り残された俺は言葉も出ない。頭の中が真っ白になった。どうやって家まで帰ったのかすらわからない。気が付いた時には家のベッドの上で、朝日も昇っていた。
それからだ。
女に興味がなくなってしまったのは。
愛する女に捨てられた俺は、もう一生女はいらない。そう誓ったんだ。
それなのに、あの子のことはやっぱりどこか引っかかる...
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作者名:さえ | 作成日時:2019年5月26日 10時