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飛貴に家に送ってもらって、恐る恐る玄関のドアを開ける。
瑞稀くん、放って出てきちゃったけど、まだいるかな?帰っちゃった?
「おかえり」
『瑞稀くんは?』
「まずただいまでしょ?帰ったけど、……アンタ脱走したんだって?」
『う、それは』
だって瑞稀くんが!……なんて、言えるはずがない。
次会った時、どんな顔をすれば良い?
突き飛ばしてごめんなさい?
いやいや!あれは、瑞稀くんが悪い……もん、
「瑞稀くん、これから大学忙しくなるらしくてね」
しばらく来れなくなるって、
……だからアンタ一人でちゃんと勉強頑張りなさいよ、だとか、また成績下がったら塾行かせるからね、だとか。
瑞稀くんが来れなくなること以外どうでもよくって、頭から抜け落ちていく。
『……え?』
「瑞稀くん、お金なんていりません、ってタダで家庭教師してもらってたのよ?」
お母さんの言葉を最後まで聞かずに自分の部屋に駆け込む。
ベッドにぽすん、と倒れ込むと微かに残った瑞稀くんの香りが鼻腔を擽る。
好きなのに、うまく伝えられなくて、もどかしい。
スマホの画面をスクロールしてみたけれど、瑞稀くんの連絡先なんて持っていなかった。
連絡先なんていらないくらい、近くて、
でも、遠くて。
矢印を無理やり曲げる能力でもあれば、
……そんなもの、あるわけないのにね?
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kiyoko__KING(プロフ) - 瑞稀くんの俺様帝王感ツボです。いつも癒しありがとうございます。 (2019年4月21日 0時) (レス) id: e9d1effcf1 (このIDを非表示/違反報告)
ろんさん - 井上瑞稀くんが好きで読んでみました。同級生とかの話もすごく好きなんですが、瑞稀先生...(言ってみたかった)..めっちゃアリだぁー と楽しみながら読んでました!アオさんのDistinyも読みました!とても感動しました!次の投稿楽しみにしてます! (2019年4月15日 18時) (レス) id: e75be039f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アオ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=blueao5&scr=novel/jeyuto01...
作成日時:2019年4月14日 16時