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第15話 ページ15

松井さんの言う通り、桑名さんは池のほとりに立っていた。


貴「桑名さん」


そう呼びかけると慌てた様子で振り返った。


貴「勝手に外出ちゃダメでしょ。
みんな心配してるよ」

桑「…ごめんなさい」


桑名さんはどこか元気がなく、活力が感じられない。


貴「具合悪くなったの?」

桑「それは大丈夫。
酔いも覚めてるし…」

貴「…」


どうしたんだろう。

なんか、違和感…


桑「もう戻るつもりだったんだ。
心配かけてごめん、帰ろうか」

貴「待って」


ぴく、と彼の手が動いた。


こんな時、どう声をかけるのが正解なんだろう。

彼は今悩みを抱えてる雰囲気だ。

それを無闇矢鱈聞いてもいいのかと問われれば私も分からない。


私なら、どうして欲しい?


貴「もう少し、ここに居ようか」

桑「え?」


彼の隣に並び、その場にしゃがんだ。

池の水に触れるととても冷たく、直ぐに指先が痺れてしまった。


貴「わぁ冷たい!
もっと寒くなったら凍っちゃうね」


困惑する彼の手に触れると冷たさで「ギャ」と聞こえた。


貴「桑名さんのそんな声初めて聞いた」

桑「ふいうちはやめてよぉ…」

貴「ごめんごめん」


でも、彼の顔にも笑顔が戻ってきた。


あれ…?

なんだろう、初めての感覚が今…


桑「おかえし」

貴「うわっ!!!!」


同じく冷たくなった手を頬に当てられ、とんでもなく大きい声が出てしまった。


桑「しー!」

貴「ちょ、それはズルいって!
そんなん大声不可避だから!」


あははは、と笑う彼の顔を見ると胸が暖かくなる。


好きだなぁ…


貴「あ、勝手に外出た2人は明日お説教だからね」

桑「え!?そんなぁ!!」

貴「当然です」

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華ヶ崎レオ(プロフ) - 杜さん» ありがとうございます!! 雨さんが失恋した日はきっと大雨が降ったことでしょう… (1月28日 10時) (レス) @page23 id: c0d7bd9e07 (このIDを非表示/違反報告)
- 桑名とのやり取りがとっても尊かったです!! でも、五月雨...うぅ。辛い。 刺さりました。 (1月27日 12時) (レス) @page2 id: 46ddc69a05 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:華ヶ崎レオ | 作成日時:2023年11月22日 22時

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