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第11話 ページ11

雨「悩み、ですか」

貴「うん」

雨「確かに最近の頭はどこか元気がないというか、活力が無いと雲さんが言っていました。
そうですか、私で良ければなんなりと」


中庭にある小さなベンチに腰を下ろし、少し息を吐いた。

私は初めて誰かに胸のもやもやを打ち明けた。

五月雨さんは時折「ほう」や「なるほど」と相槌を打ちながら聞いてくれた。


雨「すみません、恋愛に関しては疎いので力になれるか分かりませんが…」

貴「いいよそれでも」

雨「私は頭の話を聞いていて、もう答えは出ているのではないかと思いましたね」

貴「え?」

雨「無理に先のことを想定して恋愛をしなくても良いのではないでしょうか」


どくん、と心臓が1度大きく打った。


雨「もちろん男女が惹かれ合った先は番になってやがて子を産みます。
でもそれは昔の話ですよね?」


確かにさっき現世の話をした時、チラッとそんなことを話した。


雨「頭の時代は自分の主張を通しても罰せられません。
それなら自分の考える幸せに従っても何も言われないと思うのです」

貴「ほぁ…
めちゃくちゃ真面目に返してくれたから、なんか、力抜けちゃった」

雨「こ、これはあくまで私が思ったことです。
決めるのは頭ですから」


視線を逸らしながらそう言う五月雨さん。


意外にも腑に落ちた。


雨「でも、嬉しいです。
仲間が想われているのも、私を頼ってくださったのも。
同じくらい嬉しいです」

貴「私もなんだかスッキリした気がする。
聞いてくれてありがとう」

雨「また道に迷ったら、次は季語を探しながら共に歩みましょう」

貴「うん!」


五月雨さんと距離が縮まった気がするな。

頼れる仲間ができた気分だ。













松「桑名、戻るよ」

桑「ねぇあれ何話してるんだろう。
すごく、楽しそう」

松「僕らには関係ないよ。
深追いすると傷つくのは分かってることだろう」

桑「…そうだね」

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華ヶ崎レオ(プロフ) - 杜さん» ありがとうございます!! 雨さんが失恋した日はきっと大雨が降ったことでしょう… (1月28日 10時) (レス) @page23 id: c0d7bd9e07 (このIDを非表示/違反報告)
- 桑名とのやり取りがとっても尊かったです!! でも、五月雨...うぅ。辛い。 刺さりました。 (1月27日 12時) (レス) @page2 id: 46ddc69a05 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:華ヶ崎レオ | 作成日時:2023年11月22日 22時

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