第11話 ページ11
森の奥深くまで進み、山のふもとで足を止めた。
日もどっぷりと暮れ、暗くなってしまった。
ゾ「ここなら大丈夫やろ」
貴「うん」
私は小枝を集め、古龍の吐息を使って火をつけた。
ゾ「有能やな」
火を見つめながら笑うゾムさんの隣に座り、腕に手を伸ばした。
が、拒否された。
ゾ「先にあの子手当したり。
俺は後でええから」
貴「でも、」
ゾ「ほら、寂しがっとんで」
私は少しだけ躊躇いながら赤龍に駆け寄った。
貴「大丈夫？
見せてみて」
翼には小さな穴が空いており、そこから血が流れていた。
貴「ごめんね、無理させちゃったね…」
赤龍は首を振り、私に頭を下げた。
その頭を優しく撫で、もう一度「ごめんね」と謝った。
穴の空いた翼にガーゼを貼り、ぐるぐると包帯を巻いた。
貴「あなたの生命力ならすぐ治るよ。
今日はもう寝な」
赤龍は伏せ、目を閉じた。
彼女の目元に軽くキスをし、ゾムさんの隣に戻った。
貴「次はゾムさんの番やで」
ゾムさんはゆっくりと腕を出した。
血で染まりかけたパーカーの袖をめくると、傷だらけのいかつい腕が姿を現した。
持ってきた消毒液で消毒し、小さなケガには絆創膏を、大きめのケガにはガーゼを貼った。
貴「次は顔」
ゾ「顔はええから」
貴「ダメ。
傷口から菌が入ったらどうするん」
ゾ「入らへんって」
貴「ゾムさん」
私は彼の頬に手を添えた。
貴「お願い」
すると彼はため息を吐き、フードを取ってくれた。
美しい緑の目が、火に反射して光った。
綺麗な顔…
ゾ「やるならはよして」
貴「う、うん」
顔のキズは細かいものばかりだったので、頬に絆創膏を貼るだけで済んだ。
貴「はい、終わり」
ゾ「Aはケガしてないんか？」
貴「え？うん」
ゾ「嘘が下手やな」
貴「嘘なんかついてないよ」
ゾ「いーや、嘘やろ？」
な？と腕を掴まれると、ズキーンと痛みが走った。
ゾ「俺んとこ来る時受けたんやろ。
あんな硬い鉄の棒を腕で受けたら折れるで」
貴「…」
ゾ「冷やすもんあるか？」
貴「ない…」
ゾ「ならタオルとか、濡れるやつは」
貴「ハンカチなら」
ゾ「よっしゃ、待っとれよ」
ハンカチを受け取ったゾムさんはどこかへ走っていった。
じっと炎を見つめた後、目を閉じた。
炎、一面、炎と、崩れた建物と、泣き声と、銃声と、
それから
ゾ「A」
ハッとして目を開けた。
隣にはいつの間にかゾムさんが座っていた。
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華ヶ崎レオ(プロフ) - クロカさん» ありがとうございます！エミさんの気持ちもわかりますね。これからもよろしくお願いします。 (2018年9月24日 19時) (
レス) id: a8b7c32919 (このIDを非表示/違反報告)
クロカ(プロフ) - ゆ、夢主ちゃん……かっこいいぃ(*ﾉωﾉ) 普段めっちゃ可愛いのに、急にSになるとか……ギャップがものすごくいいですね！！好きです！！ これからの、展開が凄く気になります！応援してます！！('◇')ゞ (2018年9月24日 17時) (レス) id: 9f03df5593 (このIDを非表示/違反報告)
華ヶ崎レオ(プロフ) - 紺狐(ユウ)さん» ありがとうございます！頑張ります！ (2018年9月24日 13時) (レス) id: a8b7c32919 (このIDを非表示/違反報告)
紺狐(ユウ) - 面白いですね!更新頑張ってください! (2018年9月24日 8時) (レス) id: 6446cf17af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：華ヶ崎レオ
| 作成日時：2018年9月23日 22時
