【A3!】だらりと垂れた、充電コード

11ボルト ページ11

「はいお疲れ様〜
これお給料ねん」

貴「もうやりたくない」

「ノリノリだったじゃん」


友人から給料を貰い、お店を出た。


なんだろう、引越し屋のバイトより疲れたんだけど。


はぁ…とため息を吐きながら歩道を歩いた。


寮に帰ったら万里くんにいじられるんだろうな。


その時、ポツっと冷たい水が鼻に降ってきた。


貴「やばい雨だ…！」


まだ寮まで距離あるのに…

しかたない、走ろう！






貴「…最悪」


パラパラと降り始めた雨は激しさを増し、前が見えないほど強く降り出した。

傘も無ければ、レインコートもない。

コンビニで買いたくても近くにない。


私は公園の屋根がついているベンチで雨宿りした。


貴「うぅ寒い…
夏なのに…」


ブルッと身震いし、体を縮こませて暖をとった。


寒いよ…


すると誰かの足音がこちらに近付いてきた。


誰だろう


紬「Aさん、迎えに来ましたよ」

貴「え？」


顔を上げると、そこには優しく微笑む紬さんがいた。


紬「うわぁズブ濡れじゃないですか！
これじゃあ風邪ひきますよ！」


紬さんは自分の着ていた薄い上着を私にかけてくれた。


貴「ありがとうございます…」

紬「いいんですよ。
さ、帰りましょ」


差し出された傘を受け取り、少し笑った。


あったかいな…

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