【A3!】だらりと垂れた、充電コード (ページ1)

今日:29 hit、昨日:2 hit、合計:74,974 hit

1ボルトページ1

貴「あなたとはもう一生会うことは無いでしょう。
さようなら。」

ガタンと席を立ち、机にお金を置いてカフェを出た。

夏真っ盛りの昼頃のこと。

私は付き合っていた彼氏に浮気されたことを知り、たった今捨ててきた。

スタスタと何も考えず家へと帰る。

貴「ただいま」

監「あ、おかえり…って、どしたの？」

貴「………」

家に帰り、親友の声もスルーしてソファーに倒れ込んだ。

監「彼氏さんと、何かあった？」

貴「やつの名を口にするでない！！」

監「何かあったんだね」

ほら、話してみ？とソファーの前にしゃがむいづみ。

貴「…浮気されてた」

監「また？」

貴「またってなんだよ！またって！！」

監「ごめんごめん。
でも、あの人とは上手くいってたんでしょ？」

貴「途中まではね。
けど先月ぐらいから行動が怪しくて、調べたら年下の女と浮気してた」

監「あらぁ」

貴「もう知らん！！
あんなクズもう！」

監「恋多き女は大変だね～」

貴「人事みたいに言っちゃって…」

監「人事だから」

…今、刃渡り30センチぐらいの刃物が私の胸を貫いた気がする。

私は起き上がり、大きくため息を吐いた。

監「まあまあ、かき氷食べなよ」

貴「あるの？」

監「さっき密くんと作ってたの。
何味がいい？」

貴「イチゴ味に練乳だくだくだく」

監「牛丼みたいに言わないで」

外からうるさいぐらいの蝉の声が聞こえ、ガリガリと氷を削る音が空気を涼ませた。

貴「…学生組ももう夏休みか」

監「そうだね」

貴「今年こそ海行こうね」

監「ひと段落したらね」

貴「いづみの水着は任せて」

監「なんか韻踏んでるみたいで嫌だ」

貴「Yo！Yo！いづみの水着！YEAH！」

監「かき氷ぶつけるよ。
削ってない氷の方」

貴「やめて」

はい、と手渡されたかき氷を1口食べ、もう１度ため息を吐いた。

恋なんて