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第30話 ページ30

ゆっくり、ゆっくりと私は衰弱していった。

やがて私は歩けなくなり、車椅子生活を余儀なくされた。

自立することは出来るが、すぐに倒れてしまう。

薬のせいで髪の毛が少し少なくなった。


刻一刻と、死を実感し始めた。


貴「太一くん」

太「なんスか?」

貴「中庭に行きたいんですが、連れてってくれませんか?」

太「わかったッス!」


私は太一くんの手を借りながら車椅子に乗り、押してもらいながら中庭に向かった。


貴「幸は元気でしょうか」

太「とっても元気ッス!
この前はテストでいい点とったって喜んでたッス」

貴「それはよかった」


中庭に着き、太一くんがベンチに座った。


ひらりひらりと葉っぱが舞い、私のももに乗っかった。


貴「…もう冬ですね」

太「そうッスね」

貴「冬は寒くて嫌いです」

太「でも鍋美味しいッスよ!」

貴「鍋はすき焼きがいいです」

太「俺っちもつ鍋!」

貴「もつ鍋も外せませんね」


食べたいな…とつぶやくと、太一くんがベンチから立ち上がって食べさせてあげるッス!と言ってくれた。

けれど、私は素直にお礼が言えなかった。


貴「…私、太一くんにしてもらってばかりです」

太「え?」

貴「私からも何か太一くんにしてあげたいです…」


すると太一くんは私の前に膝をついた。


太「俺っちは、Aちゃんと一緒にいれることが何より嬉しいッス」

貴「…でも」

太「Aちゃん」


太一くんは私の手を握った。


太「俺っちが帰ったら、あの折り紙の花を開けてほしいんス」

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華ヶ崎レオ(プロフ) - みこはんさん» ありがとうございます!とっっっても嬉しいです!初めはこんな結末じゃなかったので、大丈夫かなと心配でしたがそう言っていただけて安心しました!(*´-`*) (2017年8月1日 0時) (レス) id: a8b7c32919 (このIDを非表示/違反報告)
みこはん(プロフ) - 何回見ても泣けます(´;ω;`)たった36話でここまで中身の濃い小説はなかなか見ないので凄いと思いました!次の作品も楽しみにしてます。 (2017年8月1日 0時) (レス) id: af3c32f75f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:華ヶ崎レオ | 作成日時:2017年7月17日 22時

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