【ツイステ】どうか、僕を手放して 2 (ページ25)

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第56話ページ25

その日を境に、私の記憶は色濃く思い出し始めていた。

正直、忘れていても何ら変わりのない生活でむしろここの方が波乱万丈だ。

友達の顔も名前も、家族も、しっかり思い出してきた。

ただ1つ気づいたのは、私は高校2年生だったということ。

エ「えっ、年上？」

貴「うん。
まぁ変わらず接してよ」

デュ「知ったところで今から先輩扱いは無理だしな」

貴「そういうことも忘れるってことはどーでもいいんだよ、僕にとっては」

思い出したところで帰りたくないという気持ちは変わらない。

気持ちに反して生きるのがこんなにも辛いとは、今まで知らなかった。

エ「そこまで思い出してきたってことは、もう時間ないんだ」

貴「…かもね」

エ「ほんとに言わなくていいの？」

貴「うん」

エ「そっか。
お前が決めたんなら、しゃーないな」

最後のわがままだと思ってもらえれば、それはそれで。

私は胸の痛みを誤魔化すように手を強く握った。